ページ

2014/04/20

小林よしのり 中森明夫 宇野常寛 濱野智史 「AKB白熱論争」

この対談を読んでいると、AKBというビジネスが提供する場所にファンが参加することでAKBが成長していくことの実例に見えて面白い。

AKBの成長にファンが入り込む仕組みについて、宇野常寛が次のように言っている。
秋元さんは、半分しかシナリオを書かないわけですよね。自ら作る半分は徹底的に
作り込んで、残りの半分はガチンコのファンやメンバーの自主的な活動に任せる。だから、ガチンコなのに文脈的にも面白い空間ができるんだと思います。そこが神がかり的なところで。

そういった「参加している感」が総選挙や握手会のような仕組みでうまく吸収されるというところが面白い。しかし、握手会なんてほかでもやっているのにAKBで一層盛り上がっている。
それについては、
したがってAKBのシステムは、むしろ実存と実存のぶつかり合いを活性化させる方向に動いてる。システムと実存がここでは対立してはいない。むしろ結託して いる
とシステムがうまくできているということに理由があると分析している。
後半、小林よしのりが宇野常寛の資本主義に対する信頼が深いと感心していた。結局、それをどの程度信頼するかでAKBの未来を信じるかどうかに差があるのかな。
AKBを切り口に政治や文学を語ったりしているのが、いかにもファントークにありそうで読んでいて楽しい本だった。

2014/04/17

ロコモティブシンドローム

googleでlocomotie syndromeを検索してみるとあまりヒットしない。
 6600件ほどである。
しかも上位に来ているものがだいたい日本発の論文やウェブサイト。 

インターネットの検索結果のみから言えることは少ないが、2つの可能性

  • 急激な高齢化が進行している日本で問題になっている
  • 他国では日常的に体を動かすことが多いため日本ほど問題になっていない

を考えてみた。

先進国は程度の差はあれ高齢者が増加している。
たとえば米国を見ると、NIHは、高齢者向けコンテンツのウェブサイト NIH Senior Healthを運営している。コンテンツはエクササイズから食事、アルツハイマー患者へのケアなど多岐にわたる。 

カタカナで語られると「海外での先進的な事例を遅れている日本に輸入しているのだ」と思い勝ちである。しかし、実際には、この部分だけを取り出して対策を進めているのはむしろ日本独自の取り組みであるらしい。 他の言語が読めないので米国以外の事情はよくわからない。

Google翻訳も長文になるとかなり機械翻訳っぽくなってしまう。もう少し改善されないかなあ。

しかし、この概念は日本で始まったのなら日本の高齢者はより運動するようになっているだろうか。

2014/04/11

川端裕人×木村草太 「入会なんて聞いてない ―― 父親たちの語るPTA」 掲載

有料メルマガのα SYNODOS で以前に連載されたPTA問題の対談がSYNODOSのウェブサイトで公開されている。 有償の購読者には「あれれ?」という感じがあるかもしれないが、新PTA会員(もちろん強制加入)の人たちはぜひ読むべき。また、「好意」でやっているPTA本部の人もこういう議論があることは知っておくべきであるとおもう。その上で自分たちの行為を正当化していればいいだろう。

とにかく、ありがとう SYNODOSの中の人。

入学式と役員決めなどなどがあるこの時期にタイムリーな話題。

入会なんて聞いてない ―― 父親たちの語るPTA 前編

大きな慣性に逆らって――父親たちの語るPTA 後編

木村 強制加入はどう考えても違法だと私はおもっています。シノドスでのインタビューでも述べていますが、常識的に考えてもおかしいです。
木村さんはシノドスのインタビューでも「違法PTA」の話を法学の研究テーマの一つとして語っている。

わたしたちの自由はどうやって守られているのだろう ―― 繊細な憲法を壊さないために 憲法学者・木村草太氏インタビュー
好きでPTAに入会されたのであればとくに問題はないですが、入退会が自由でないPTAや、強制加入させた会員に仕事を押し付けるPTAは、「違法PTA」なんですね。 みなさんあまりご存じないですが、PTAってどうやって会員名簿を作っていると思いますか? 団体は、まず名簿がないとつくれません。名簿をつくるためには、入会申請書をつくって、手続きに従って申し込みをしてもらう。その方を会員として名簿に記録する。それは会社でも、町内会でも、どんな団体でも変わらないことです。

しかしPTAのなかには、入会申請書を作ってもいないし、届けてもいないのに保護者を会員登録してしまうPTAがある。なぜこんなことができるかというと、学校から流してもらった名簿を使って会員名簿を作るからです。法的には、そもそも、この時点でアウトで、違法PTAになります。なぜなら、これは学校による「同意のない個人情報の第三者提供」を前提とした運営だからです。

あるいはクラスの誰かが名簿をPTAに渡してしまう場合もある。これだってやっぱりアウト。この場合は、渡してしまった人が、個人情報の第三者提供をしていることになりますね。つまり入会申請書を集めてもいないのに会員名簿があるPTAは、そもそも違法PTAなんですね。

PTA本部にいたときは、名簿は会員(強制加入した保護者)には配布していなかったけれども、学校から提供された情報を元に本部がもっていた。もっていなければ各地域ごとの役員決めなどもできない。

自分が大きな問題だと思っていたのは、大変な状況(たとえば単親家庭で夜の仕事)なのに「どうしてもやらなければいけないなら、やります」と引き受けて忙しい思いをする家庭を出してしまっていたこと。この場合、「同調圧力」による押し付けに近かった。それに、退会規定も当然ながら存在していなかった。

川端さんの「入り口・出口の両方と、困った時に歯止めになってれるセーフティネットもちゃんと整備しとかなきゃとおもいますよ。」という問題提起に対して、

そこは私も注意をしていて、入退会自由なのは当然の原則であり、また、入らない人をいじめたりした場合は、不法行為になって損害賠償ものですよ、と必ずセットで言うことを意識しています。
なかなかしぶとい強制加入PTAだが、日本社会がより開かれたコミュニティを持つためにもPTAに出たり入ったりが普通にできる世の中になってほしい。強制加入反対を唱える人がコミュニティが不要と考えているかというとまったく違うのだ。強制加入を主張することがかえって学校コミュニティを壊している可能性すらあるのではないだろうか。