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2011/08/29

[PTA] PTAが変われない理由

田中理恵子 「平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」 」の中で、ある社会が崩壊するときの原因が語られていた。これが、今のPTAに必要な改革ができないことをうまく説明しているのではないか、と思う。

上記の本の中で引用されているジャレド・ダイアモンドの話が興味深い。

彼によれば、社会が破滅的な方向へと向かう場合、1 問題の予期に失敗する、2 予見できた後でも実際に起きた問題の感知に失敗する、 3 問題を感知した後でも解決に失敗する、の大きく三つのパターンがある。

3の場合がPTAに当てはまっているのではないかと思う。このパターンでは、

人類史を振り返れば、支配集団が、ほかの大多数の人々の利害を軽んじて、「合理的な非道徳的行為」を繰り返すことによって、多くの文明が滅んできた。(略)
この場合、損失は党の支配層ではなく、それに従う大多数の人々に広く浅く降りかかる。だが負担する「多数派」一人当たりの損失が小さいため、彼らは損失に気づかないか、気づいたにしても積極的に反対行動を起こそうとは思わない。なぜなら仮に彼らが反対したにしても、得るものは少ないからである。(略)

すぐに思い当たるように、日本の過剰な公共事業投資や、現在争点となっている農業保護などもこれに酷似しているといえる。「大多数の人々の出費で少数の人々に利益を与える方策は、とりわけ小さな集団に“決定的な権力“を授ける特定の種類の民主主義で生まれやすい」とダイアモンドは指摘している。
PTAにおいても同様だ。日Pが「子供に見せたくないTV」など様々なトンデモ政治的なアンケート結果を公表するのがばかばかしいお金の無駄遣いだと一会員が思ったとしても、黙っているのが「合理的な」判断だ。自分が正しいとしても(もちろん正しいのだが)単位PTAから市P連、県P、と意見を通す労力が膨大なのは明白であり、いろんな人にイヤな顔をされながら説明するなんていう暇はないのだ。

単位PTAから始まり、市P連、県P、ブロック、日Pに至る見事なピラミッド構造は、各単位PTA会員ごとの10円(もしかすると値上げしたかも)程度の上納金で運営されている。日Pのやることなすことがばかばかしいと思っても、10円程度をドブに捨てていいやと考えることができれば、黙っていたほうがずっと安上がりなわけである。

PTA強制加入がなかなか改まらないのも同じような理由で、「何年か数千円(単位PTAの会費)をドブに捨てると思って我慢したほうがいいや。」という選択をしてしまう人が圧倒的な多数だろう。自由加入のPTAにするための労力が報われることは絶対にない。会費を払わないという消極的抵抗はありうるが、引き落としをする学校だと雑費と一緒に学校に引き落とされるためお手上げなのだ。

田中理恵子によれば、日本は「積極的選択が高くつく社会」である。「痛みを伴う改革」(小泉的なスローガンではなく真の意味で現状制度をなくして変更する)を選択するよりは、そんなに大変だったらそもそもそっちに行かなきゃいいでしょ、と結婚や恋愛市場から撤退したり、さっさと海外に移住したり、PTAを無難にやりすごしたりする、という消極的選択を行うのが合理的だ。その結果が今の社会の問題となっている。

日Pは子供が少なくなったので会費を値上げしたわけだが、そのときに市P連などではさしたる議論もなしに承諾したと聞く。この場合、少数の特権集団は日P本部のエライ人たちであり、彼らは現状を維持したまま会費を徐々に値上げして自分の代は無事に過ごそうと無意識に行動している。

PTAを中心に地域社会を活性化する、なんていう理想論を言う人もたまにいるのだが、これも、改革と同じ理由でうまくいかない。

結局、強制加入PTAの尊厳死を見守るしかないのだろうな、と思う。

2011/08/28

田中理恵子 「平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」 」

水無田気流名義の「黒山もこもこ、抜けたら荒野」が面白かったので、海老名の三省堂で購入。

「一家の大黒柱」の男性に家族が生活を成り立たせるだけの賃金を支払い、配偶者の女性は「待機」することでなんとか生活が回る、というモデルが経済的・社会的に崩壊した。このことと、昭和以前の地縁血縁でがっちり固めたつながりの社会モデルもなくなってきた。

しかし、これを解決する一発逆転の「銀の弾丸」はない。本当に、どうするの、って感じではある。

経済的な意味では、生活を安定できる(と考えられる)仕事や収入を得られることは基本だろう。現在は20年間の経済だだ下がり状態の結果、これは絶望的。一方で、この国で育児にかかる費用の負担は企業を含めて個人の負担。

「昭和」社会が想定していたいろいろなものが失われているのに制度はまだ変わっていないという矛盾の結果として、リスク回避の選択をした結果、結婚や出産をしなくなっていく、という現状。

もう一つの、社会の中で人間が生きていくための「つながり」を退出の難しい家族を中心にしつつ、退出可能な緩やかなつながりの組み合わせにもっていけるのかどうか。

雨宮処凛がBig issueの143号 2010.5.15に以下のように書いていた。

「つながり」系の話になると必ず出てくるのが、昔の日本の長屋では醤油や味噌の貸し借りをしていて、というような一見「美談」っぽい話だ。(略)そんなディープすぎるつながりがあるところに住んだとしたら、すぐに音を上げて引っ越ししてしまうだろう。

何か、「長屋」系コミュニケーションに慣れていない初心者でも参加できる緩やかな「つながり」が身近にあれば・・・。今、結構切実に思っているのだが、個人の領域も侵されずにいざという時のセーフティネットになるつながりというと、残念ながら見当たらないのだった。
雨宮処凛がこういうことを書いたというのも興味深い。いろんな立場の人が同じように模索中というわけだ。自分自身も地域でそれほどつながりを持っていない。会社勤務の場合はそういうケースが多いのではないかと思う。自分が育った地元でもないから、昔の知り合いネットワークも持っていないわけで、首都圏独特な状況かもしれないが、本書でもあるように男性の孤独死はこれから増えたりするんじゃないか。

地域での参加については著者が参加する子育てコミュニティや講演会に行ったときの経験などから、地道な改善策が提案されていたりもする。 PTAなどやっていたときには、誰に向けての発信なのか、と疑問に思う市のイベントが多かったな、などということも思い出した。

平日午前と土曜日午前の2回に同じことをやる、なんていうのもできそうでなかなかやっている話を聞かない。こういうところは今の強制参加の旧態依然としたPTAでもなんとかできそうに思う。
ま、PTAはPTAで別の問題を山盛り抱えているので、これも「昭和」の清算として変わっていかねばならない。


2011/08/20

[SBK] 2011 第7戦 アラゴン

world superbike
2011年 第7戦 アラゴン

実況:下田恒幸
解説:八代俊二

SBKでは初の開催。
「ティルケのコースは評判が悪いが、ここはライダーに評判がいい。」(八代)

race 1
1 33 M. MELANDRI ITA Yamaha World Superbike Team Yamaha YZF R1
2 1 M. BIAGGI ITA Aprilia Alitalia Racing Team Aprilia RSV4 Factory
3 2 L. CAMIER GBR Aprilia Alitalia Racing Team Aprilia RSV4 Factory
メランドリとビアッジが2台で先頭争い。ビアッジは前に出た。
8Lでチェカが転倒。3位走行中。

芳賀は、5位から、サイクスやラバティにオーバーテイクされる。
BMWはバドビニがファクトリーのコーサー、ハスラムよりも前にいる。

ビアッジとメランドリはテール・トゥ・ノーズ。
ビアッジが16Lでミスしてメランドリは前に。そのままフィニッシュして、ビアッジはまた2位。
「ビアッジは前に出た後、差を広げられず、相当きつかった。」(八代)

race 2
1 1 M. BIAGGI ITA Aprilia Alitalia Racing Team Aprilia RSV4 Factory
2 33 M. MELANDRI ITA Yamaha World Superbike Team Yamaha YZF R1
3 7 C. CHECA ESP Althea Racing Ducati 1098R
芳賀選手は300レース目。
路温が53度。「タイヤにきびしい。スタートが重要。」(八代)

スタートではビアッジ、メランドリ、サイクスの順。
ビアッジ、メランドリの2台の争いは、15Lでメランドリのバイクに大きい挙動が出てコースアウト。
ビアッジは広がった距離で余裕の走行で優勝。

芳賀は、またラバティにオーバーテイクされた。


「メランドリはバイクを変えていなかった。路面コンディションが変わってしまった。」(八代)

2011/08/19

[IndyCar] 2011 第8戦 アイオワ Iowa Corn Indy 250

IndyCar
2011年 第8戦 アイオワ Iowa Corn Indy 250

実況:村田晴郎
解説:武藤英紀、松田秀士

1 26 Andretti, Marco
2 82 Kanaan, Tony
3 9 Dixon, Scott

佐藤琢磨が日本人選手としては初のポールポジション。 2番グリッドにはダニカ・パトリック。
コース 0.875(1.4km) バンク 12度から14度。


「アウトサイドを走る車は、バンプを乗り越えるのでセッティングがシビア。」(武藤)

スタート後、佐藤はリードラップは奪われたが、順調に走行。

ウィル・パワーはピットでヒチクリフとピットで接触。フロントが壊れて修理。ウィル・パワーは、この後、スピン。

「バイザーを上げてハンドルを外すのが大丈夫の合図。」(武藤)


ダリオ、エリオ、マルコ、カナーン、佐藤、ヒルデブランド。
「ヒルデブランドは、インディ以降、「ミスター、ターン4」というニックネームがついたらしいです。」(村田)

佐藤は最後のルーティンピット後に、バンプに乗ってリアが流れてスピン、クラッシュ。
「タイヤが暖まっていないフルタンクの状態でバンプした。 」(武藤)

オーバルでのGとの戦い
「肺が痛かった。息を吸う筋力をつけた。」(松田)
「内臓が右による。戻るときに痛いんじゃないかと思う。」(武藤)

KVレーシング
カナーンがチームに無線で抗議。「タクマが2回チョップして風を奪っている。チームメートなのにもっと気を遣え。次にやったらわかってるな。」
チームからは、佐藤もあやまっているから、となだめられる。

マルコ・アンドレッティ
ダリオの前にでてリードラップを取り、ルーティンピット。佐藤のクラッシュ後のリスタートではカナーンと一対一のバトル。
「カナーンはインを閉める車に調整している。マルコはスペースがなくて抜けず。」(武藤)

しかし、カナーンをマルコがオーバーテイクして優勝。
マルコ・アンドレッティは5年ぶりの勝利。

アメリカ人が勝つのは久しぶり。
「アメリカ中が待っていた勝利ですね。」(武藤)

「パーティーが大変ですね。」(村田)
「アイオワはパーティーできるところがないから、飛行機でどこかへ行くんでしょうね。」(武藤)


2011/08/18

マイケル・E・マクグラス 「プロダクトストラテジー~最強最速の製品戦略 」

戦略を考える上で基盤となるビジョンが重要である。
ビジョンが完璧かどうかは次の3つの質問に答えられるかどうかで決まる。
  • 達成すべき目標は何か?
  • どうすればそれを達成できるのか? 
  • なぜそれが成功するのか?
 と、この話が最初の数十ページに書かれていて、そこから先は、戦略の様々な側面を体系立てて説明してくれる。

大きな枠組みとしては、マーケットプラットフォームがあり、ここにプロダクト・プラットフォーム、プロダクトライン、イノベーション、拡大のためのM&Aなどなどの手法が絡む。

4つのパートに分かれた内容の真ん中の2つが戦略の話、最後がプロセスの話になる。自分としては、細かい戦略の話よりもプロセスの話の方がわかりやすかった。プロダクトプラットフォームの話などは、「そりゃそうやってどんどん製品が出せたら気持ちいいだろうけど。。」と軽く違和感を感じるが、勝っていく会社ではできている、ということなんだろうか。

製品戦略よりも根本的な戦略ビジョンがはっきりしてない会社が多いような気がする。


2011/08/17

[WTCC] 2011 Rd.9, 10 ブルノ

世界ツーリングカー選手権
2011年 round 9, 10 ブルノ

放送:GAORA
実況:ピエール北川
解説:木下隆之

round 9
1 Robert HUFF GBR Chevrolet Cruze 1.6T
2 Yvan MULLER FRA Chevrolet Cruze 1.6T
3 8 Alain MENU CHE Chevrolet Cruze 1.6T

スタートでハフとミュラーが先頭争い。ハフはコース外に押し出されるがトップ。
車両違反で最後尾スタートのミケルズはオーバーテイクを繰り返して、8位。
ハフとミュラーは同じチーム内でもライバルになっている。TVではレース後のパルクフェルメでのハフとミュラーの握手をリプレイ。

シボレーの1-2-3は今年はあまりない。


round 10

1 Yvan MULLER FRA Chevrolet Cruze 1.6T
2 Tom CORONEL NLD BMW 320 TC
3 Alain MENU CHE Chevrolet Cruze 1.6T

リバースでシボレーは中段になる。
スタートでエングストラーが遅れコロネルがトップ。
Yミュラーはメヌをかわし、5Lでコロネルを捕まえトップに立つ。

その後、コロネルはメヌに攻めたてられつつ、2位を守る走り。

「コロネルが好かれているので無理な追い越しをしない。」(木下)

インデペンデントのニケアは背中の名前が手書き。しかも薄い。
「およそ、世界選手権のスーツに見えませんね。」

シボレーの3人は誰がチャンピオンになるか、という争いに入りつつある。他チームとの速度差はそれぐらい大きいようだ。

2011/08/16

[NASCAR] 2011 第15戦 ブルックリン Heluva Good! Sour Cream Dips 400

NASCAR
2011年 第15戦 ブルックリン(ミシガン)  Heluva Good! Sour Cream Dips 400

解説:桃田健史
実況:藤田大介

1  11 Denny Hamlin Toyota FedEx Office
2 17 Matt Kenseth Ford Crown Royal
3 18 Kyle Busch Toyota Snickers
4 27 Paul Menard Chevrolet Pittsburgh Paints / Menards
5 99 Carl Edwards Ford Aflac "Now Hiring"
6 39 Ryan Newman Chevrolet U.S. Army 236th Birthday / Bud Moore NASCAR Hall of Fame
7 14 Tony Stewart Chevrolet Office Depot / Mobil 1
8  33 Clint Bowyer Chevrolet Cheerios / Hamburger Helper
9  5 Mark Martin Chevrolet GoDaddy.com
10 83 Brian Vickers Toyota Red Bull

コース:2マイル 200周
バンク  ターン 18度
コース幅が広く、4ワイドにもなる。燃費レースになることが多い。

アクセル全開ではないのでスロットルをスムーズに動かす。「足首を慣らさないと。」(桃田)

トレバー・べインがカップレースに復活。

自動車産業の地元
コースと自動車企業の事業所が近い。
「deer hornはフォード、ann arborにはトヨタ。」(桃田)
優勝がトヨタ、2位がフォードだった。

JGRのレギュレーション違反
オイルパンを前方にずらして車を改良していた。もとに戻して出走。
「セッティングは3台似ているはず。カイルが速いのはドライバーが速い。」(桃田)
優勝は同じJGRのハムリン。

ガス欠
E15燃料になったことで燃費の計算が少しずれている。予想では35-40のところが、レースでは34-36。ケインやモントーヤはガス欠。

デイル・アーンハート・ジュニア
なぜかマーク・マーティンと接触。それで車のバランスがおかしくなり、192Lでウォールをヒット。21位。レース後コメントでも怒っていた。

ジミー・ジョンソン
8Lでスピン。スェイバーが外れ、車のフロントのねじれが強い。「アンダーステアになる」(桃田)
27位。

2011/08/15

[IRC] 2011 第3戦 ツールドコルス

International Rally Challenge
2011年 第3戦 ツールドコルス


新カテゴリーのR4にスバルが参戦。新井敏弘がドライブして車を作る。

ノイビルが好調。

DAY1, DAY2を通してノイビルは好調でトップ。
アリ・バタネンがSS6で大きなクラッシュを起こして首を怪我。病院へ搬送された。

2位はヤン・コペツキー。


2011/08/14

[NASCAR] 2011 第14戦 ポコノ 5-Hour Energy 500

NASCAR
2011 第14戦 ポコノ 5-Hour Energy 500

実況:福徳一志
解説:桃田健史

コース:
4km(2.5マイル) 200周。
バンクは、各ターンで14度、8度、6度。
ロードコースのようなオーバル。

結果
1 24 Jeff Gordon Chevrolet DuPont
2 22 Kurt Busch Dodge Shell / Pennzoil
3 18 Kyle Busch Toyota M&M's
4 48 Jimmie Johnson Chevrolet Lowe's
5 29 Kevin Harvick Chevrolet Okuma
6 88 Dale Earnhardt Jr. Chevrolet National Guard / Amp Energy
7 42 Juan Montoya Chevrolet Target
8 17 Matt Kenseth Ford Affliction Clothing: Live Fast
9 39 Ryan Newman Chevrolet Haas Automation
10 56 Martin Truex Jr. Toyota NAPA Auto Parts

リチャード・チルドレスに罰金15万ドル。カイル・ブッシュに殴り掛かった(笑)とか。

燃費
1周2.5マイルのコースを、19.5ガロンのタンクで走る。
2010年の燃費は、4.2から4.2mpg(mile/gallon) 周回にして32から36ラップ。
2011年はエタノール15%混合のE15燃料に切り替わった。その分、燃費は悪くなる。
2011年は4.0から4.2mpg、周回にして30から34ラップ。

さらに、今回はレギュレーションでギア比の設定が変更されているらしく、 28から32ラップになるという予想もあるが、実際にレースをするのは初めてなので、よくわからない。

シフトチェンジ
3足のギア比のレギュレーションにより、シフトアップ、シフトダウンが多い。
トニー・スチュアートは3速に入らなくなり「NASCARに感謝しなきゃね。こんなにシフトさせてくれて。」と無線で皮肉を言う。ハムリンも4速固定で走行、ニューマンは終盤に3速ギアトラブル。

フアン・パブロ・モントーヤ
ポコノはロードコースに似たオーバルなので、得意。
何度か2タイヤチェンジでトラックポジションを上げる。7位フィニッシュ。

カール・エドワーズ
序盤でシリンダーが落ちてガレージへ。修理して最後に再スタート。37位。

ジェフ・ゴードン
序盤ではあまり上位に顔を出さず走行。117Lのピットインあたりから順位を上げた。
無線で「日が当たって路面が変わってきた。」
「さすがジェフゴードン、よく読んでいる。」(桃田)
路面の変化を読み切って優勝。

デニー・ハムリン
序盤は好調でギアがおかしい状態でもトップ。
タイヤバースト。最後のピットインは他より遅れて入った。ギアが壊れているので通常のタイミングでのピットは危険と判断したようだ。
19位。

2011/08/13

鈴木亘 「年金は本当にもらえるのか?」

年金で損をしない方法を書いている本ではない。

年金制度がなぜこんなに複雑なのか、役所の言っていることのどこがごまかしなのか、などをQ&A方式で解説している。説明が非常にわかりやすいので、今の制度がどのように壊れているのかがよくわかった。

この本を読むと新聞が、さらっと流している以下のような記事を読んでもいろいろと考える。

www.asahi.com (2011年8月11日) 

厚生労働省は10日、年金特別会計の2010年度収支決算を発表した。いずれも時価ベースでサラリーマンらが加入する厚生年金では2682億円の赤字。一方、自営業者らの国民年金では2195億円の黒字となった。厚生年金の赤字は2年ぶり、国民年金の黒字は2年連続。
厚生年金は、09年度がリーマン・ショック後の株価回復で運用収入が8兆6000億円を超す大幅なプラスとなり、3年ぶりに黒字に転じた。しかし、10年度は東日本大震災による株価低迷などの影響で運用収入が3069億円のマイナスとなり、再び赤字となった。
一方、国民年金は10年度は保険料納付率が過去最低の59.3%となったことなどが影響し、歳入全体が4297億円減少。ただ、保険料納付率の低下に伴い、基礎年金給付のための繰入額を7553億円減らしたため、収支全体では黒字だった。  

本書によれば、国民年金は、昔は積立方式だったものを田中角栄時代などで大盤振る舞いをしてしまったために賦課方式に変わらざるを得なかった。その結果、国民年金は大赤字で、厚生年金や共済年金からお金を回してもらうような制度をでっち上げている。

読了前なら「国民年金が黒字でいいな、厚生年金は大丈夫か」と思ったかもしれないが、今は「国民年金が黒字で厚生年金が赤字というのは、そのまま受け取るわけにいかない話だし、納付率が低くなっているので給付のための繰り入れが減っているというのは、年金制度自体の崩壊が起こっていると言ってもいい状態(払っていない人がどんどん増えている、ということだから)。」となる。

また、
NHKニュース より

厚生労働省は「年金を安定的に給付するため、積立金の着実な運用や、保険料の納付率を向上させる取り組みを進め、財政を安定させたい」と話しています。
などという役所のコメントも、「着実な運用(笑)」という感想になってしまう。

実際、厚生労働省は年金見直しをしなくてもいい(自分たちのやっていることは正しい)という立場だから、このようなコメントを出しているのだろうが、想定している運用利率は4%以上だそうだ。 この想定をもとに今の年金の金額を決めて高齢者世代に払い出している。この部分にツッコミを入れない国会議員たちも情けないが、これを放置する役所の公務員たちや天下りしたOBたちも不誠実だと言えるだろう。


団塊の世代などが比較的豊かなのは、年金などの負担が少なく受け取りが多いので、生きているだけで得する世代だからでもある。自分は今の制度だとトントンで、1960年生まれより若いと払った分を受け取ることはできず、若ければ若いほど損になる。

日本ではよくある話ではあるが、役所は昔からの間違いをなんとかごまかすために素人を煙に巻く制度設計を行い、情報をできる限り隠している。国会議員たちはあまりよくわかっていないので、役人のいいなりになっているようだ。また、将来の子供たちに負担を先送りする分には大人は誰も文句は言わないので、そのような行為が積み重なっている。


著者のいうように世代で閉じた積立制度を基本にする(元に戻す)とともに、ほぼ定額が支給される部分については消費税によりまかない誰でも定額が受け取れるようにする(これにより年金事務所なども縮小でき天下りも減らせる)ような根本的な制度変更が緊急課題だろう。じっとしていると団塊の世代がどんどん年金を受け取るようになり、「お得」な人たちが増えていく。それに、日本の人口減少は始まったばかり。今、制度を変更すれば子供たちにつけを回すのを少なくできる。

本の付録には、厚生労働省の主張する夢のような運用利率を現実的に直した場合の受け取り額が掲載されている。これだけでも見た方がいいと思う。

今の役人たち(とくにエライ人たち)はもらい逃げできるだろうけど、その子供たちはもう無理なんだろうな。どの政党もまともな年金制度を提案できていないので今(2011年8月現在)選挙があったらどうしたらいいのか。

 原子力も年金も同じだなと思うのは、つまるところ、役所は本当のことを言っていないし、これをチェックする議員たちも機能していない、というところ。チェックしようとする議員はいたけれど少数ではとにかく無理だろう。

黙って年金を巻き上げられ、損を押し付けられる若い(1960年生まれ以降の)サラリーマンは読むべき。


2011/08/11

[Indycar] 2011 第7戦 The Milwaukee 225

IndyCar
2011年 第7戦 ミルウォーキー The Milwaukee 225

実況:村田晴郎
解説:レーサー鹿島、小倉茂徳

1 10 Franchitti, Dario
2  38 Rahal, Graham
3  2 Servia, Oriol
小倉さんのインディー解説は初めて。

 小倉さんのインディ評。
「ドライバーは本当にプロ。どんなときでもチーム、スポンサーも感謝する。このレベルを見習ったら世界のモータースポーツはもっとよくなる。」

前戦のテキサスのレース2では、ウィル・パワーがオーバル初優勝。くじ引きで決めたグリッドでかなりラッキーだった。ダリオ・フランキティ「くじ引きでグリッドを決めるのは良くない。」

コースは路面改修したところがあり、グリップしないところもある。「バンクは9.25度と浅く、フラットに感じる。嫌いなドライバーも多い。」(鹿島)

佐藤琢磨
スタート4位から9位あたりまで下げた。ピットインではディクソンが急に幅寄せしてきたためにタグリアーニのピットに避難。その後、自分のピットではピットでクルーに当たるという事故でドライブスルーを課された。が、リードラップには戻り、EJビソのクラッシュによるコーション前にステイアウトで順位を上げた。最終的には8位でフィニッシュ。「佐藤琢磨の今後の課題はピットストップの位置。今日はきっちりできていた。」(小倉)

E.J.ビソ
GP2も見ている小倉さんは、EJビソのヨーロッパでの走りは知っている。「やばいドライバー。フロントウィングを踏んでも行くぞ」という感じだったらしい。170Lでクラッシュ。4番手を走行していただけに残念。「いろいろ言うのも仲間だと思っているから言えるんですよね。」(小倉)と残念がった。

ダリオ・フランキティ
スタートすぐから前にでて、トップ集団にとどまって優勝。

安全性
安全性については、NASCAR, Indy、F1は仲間。IndyからF1に導入されている。(小倉)

2011/08/10

[SBK] 2011 第6戦 ミサノ

world superbike
2011年 第6戦 ミサノ
実況:下田恒幸
解説:八代俊二

チェカがダブルウィン。ビアッジは2レースで2位。芳賀紀行が久々の3位表彰台。
やっと芳賀選手のバイクセッティングもよくなってきたのかな、と感じるレースだった。
BMWの若手、バドビニが元気で2レースとも中盤フィニッシュ。


race 1
結果
1 7 C. CHECA ESP Althea Racing Ducati 1098R
2 1 M. BIAGGI ITA Aprilia Alitalia Racing Team Aprilia RSV4 Factory
3 33 M. MELANDRI ITA Yamaha World Superbike Team Yamaha YZF R1

スタートで飛び出したハスラムは、中盤に転倒。
チェカがビアッジを11Lでパスしてトップに立ち、単独に。

芳賀は電装系トラブルでピットに戻る。

サイクスとラバティが最終ラップまでバトルを続け、最後の最終コナーでサイクスがラバティをパスした。
「あの角度から抜けるんですね。びっくりです。やりますね、サイクス。」(八代)


race 2
結果
1  7 C. CHECA ESP Althea Racing Ducati 1098R
2 1 M. BIAGGI ITA Aprilia Alitalia Racing Team Aprilia RSV4 Factory
3 41 N. HAGA JPN PATA Racing Team Aprilia Aprilia RSV4 Factory


サイクスがホールショット。
ビアッジはチェカのインを強引に刺す。
チェカ、ビアッジの2台が前、メランドリ、ハスラム、サイクスと大きく離れた。
11Lでメランドリが転倒、マシンがコースに残って赤旗中断。

残りをヒート2で行うことになった。
「ビアッジはrace1後のインタビューで10周ならいいのに、と言っていたのでタイヤの持ちが心配。ヒート2なら残り14周、ぎりぎり行けるかも。」(八代)

ヒート2は、ビアッジが好スタート。
チェカは2位を走る。

8Lでビアッジがコースオフしてチェカがトップに立ち、優勝。
芳賀はハスラムなどの集団の後方からオーバーテイクし、集団の先頭に出て、3位。

チェカのバイクのチェーンがウィニングラン中に切れた。


2011/08/09

[コンピュータ] VAIO-E インプレッション

ピンクのVAIOを使い始めて少したったので、使い勝手などを簡単にまとめておく。たぶん、もっと時間がたつと感想も変わると思うので、今の感想を書いておくという意味でも一度記録しておこうと思う。

OSがWindows Vista からWindows 7 Home に変わったことで、かなりストレスがなくなった。これはVAIO Eのせいじゃないけれど。

サイズ
以前使っていたNECのLavie Lと今のソニーのVAIO Eだと液晶サイズが小さい。対角線の長さ以上に小さく感じることがある。

インタフェース
Lavie Lが良かったと思うことの一つはインタフェースの位置。背面にUSB3個、ネットワーク、HDMIなどがそろっていた。

VAIO Eが背面にコネクタをださない設計なので右と左の側面にインタフェースがある。
自分が使う上で一番不便に思うことが右手前にUSB3個があること。
たとえば、デジタルカメラの画像をUSB経由で取り込む場合、マウス、外付けハードディスク、デジタルカメラを接続する。そうするとマウスを操作するときにケーブルが邪魔になる。

これは、iPodを同期するときにも同じようなことが起こる。USBは右の奥がよかったな、と思う。

また、Lavie LはUSBが5個端子があったので、マウス、キーボード、外付けハードディスク、iPod、のように4個でも余っていたのだが、VAIO Eだと4個にするにはUSBハブで増設が必要だ。

BluetoothやWiFiなどの無線接続にすればある程度は解決するのだが、経済的な理由で周辺機器の買い替えを一気に進めることもできない。とりあえず、mouseをbluetooth化が次の買い替え候補になっている。

キーボード
Lavie Lはキーボードが従来のタイプで、ごみなどがキーの下に溜まってしまい打鍵がうまくいかなくなることがあったのだが(掃除をしない自分の責任であるが)、今回のキーボードは最近のノートPCで標準的なアイソレーションキーボードになった。打鍵が軽くなり押し込む距離が自分には適度で使いやすい。

バッテリー
付けると重くなるので、外して使っている。外してみると、バッテリーの重さがノートPCの重さの一部だったんだということがわかる。持ち運ばないので不便は感じない。
以前、NECのサービスの方に、つけているだけで充放電してしまうので必要がないならつけない方がいい、と伺ったことがある。


2011/08/06

勢古 浩爾 「定年後のリアル」

岩波書店から出た「定年後」の本を読むと、登場する人たちが何かしら生きがいを見つけて、社会やサークルなどのつながりを維持しながら元気に暮らす、という内容が多かった。
しかし、この数年、団塊の世代が定年に突入し、年金も今はもらえても先行きがきびしそうだ、となると、定年後の生活の見通しがあやふやになってくる。

一方で、老後資金に何千万必要だ、とか、孤独死を避けるにはどうするか、などなど、個々の問題に対する情報は増加している。

自分の生活状況は自分だけのものなのだから、「平均的なリアル」とは違う。心配なのはわかるが、すぱっと解決することができないことがわかっているのだから、過剰に「問題」化せずに生きていくしかないではないか、というのが著者の考え方だ。

たとえば、上野千鶴子が書いているのは東大教授の老後であって、あなたの老後とは違うのに、そこに引きずられても仕方がないだろう。これをいうために、上野をぼこぼこにやっつけているのは面白かった。

一貫して、自分視点から書かれているので、「余命一年のつもりで生きている」なんていいながらも、ちょっと旅行もしてみたい、なんて書いてしまうようなノリだ。

定年後の対策ができてない、と焦っている人が読むと、このレベルでもいいのか、と開き直って落ち着けるかも。


2011/08/05

大竹文雄 「競争と公平感―市場経済の本当のメリット 」

たいていの経済学者は「市場経済では格差はできるが全体としてみれば豊かになる。競争に敗れた人をセーフティネットで救い、再分配を行うのが国の役割。」と考えていて、経済学の標準的な教科書もそのようになっている。市場経済を導入した国の多くでは経済学者でなくてもそう考えているらしいのだが日本では一般的ではない。どちらかといえば「行き過ぎた市場主義で格差が拡大したから規制して行き過ぎを是正する」のが今は妥当な政策だと考えている人が多いだろう。

しかし、世界のほとんどの場所では市場経済とは付き合っていかねばならないのだから、どうつきあっていったらいいのかのヒントを読み取ってほしい、という考えで著者はこの本を書いたとまえがきにあった。

ピュー研究所が行った国際比較調査では、日本人は市場経済で格差ができることを拒否すると同時に、市場での敗者を国が救済することにも拒否感を示している、という結果が出ている。

単に競争や公平感というポイントにとどまらず、
この20年の「経済だだ下がり」の中で、日本人の勤勉さも低くなっていったという調査結果とその原因についての分析や、非正規社員の増加や最低賃金の引き上げを経済学の視点から考えるとどのように分析できるか、など、幅広くエッセー風にまとまっている。この本の解説で今の民主党の政策について感じていた自分の違和感が幾分説明できた。

官僚は職業政治家は、政策を考える前にこの本を読んでほしい。

なぜ市場経済の促進に役立ったはずの規制緩和に対して否定的な人が増えているのか、についての著者の説明は、往時の「小泉改革」を思い出してみると納得できるものだ。著者は一連の「構造改革」の顛末を次のように要約する。

結局、一番割を食ったのが市場主義である。市場主義が既存大企業を保護する大企業主義と同一視されてしまったため、反大企業主義が 反市場主義になってしまっているのではないだろうか。構造改革に携わった大企業関係者が、「官から民」への移行に伴って利益を受けていたとすれば、それは市場主義的政策と無関係どころか相反するものだ。誰でも競争に参入できるという公平性が担保されていることが、市場主義の一番重要な点だからだ。
「官から民へ」という掛け声のもとに、市場ではなく一部の財界に利権が移されたことが国民の反感を買い、反市場主義につながった。官僚から利権を奪うだけでは、問題の解決にならない。市場主義の否定は、利権の奪い合いをもたらすだけである。反市場主義によって私たちが失うものは大きい。
この他に、ニューロエコノミクスの紹介など最近の研究を紹介してくれているところもある。「双極割引」がここで詳しく書かれていて、なんとか理解できるようになった。