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2008/09/20

[私学助成] 和光デー

2008年9月20日

和光中学・高校の真光寺校舎で、和光デーが開催された。
今回は、大阪府の私学助成金の大幅削減の撤回を求める運動をしている大阪の「大阪私学助成をすすめる会」の会長の一之瀬良子さんと時 充子さんが講演をされるということもあり、参加した。

和光学園では公費助成運動推進協議会があり、公私の別なく望む教育を受ける権利を、というテーマで運動を行っている。大阪の場合は、橋下徹知事の就任後に大幅な赤字の対策のために、様々な費用のカットを進めるなかに私学助成の削減が含まれている。現状では、3年間にわたって月額約3万円弱の助成金のカットがなされることがほぼ決定である。

保護者の「すすめる会」の活動とともに、高校生による「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」も活動しているとのこと。

お話を聞く限りでは、橋下知事は(どこまでが本音かという問題はあるが)
  1. 私学の付加価値を求めるなら、公立よりお金がかかるのはあたりまえではないか
  2. 公立高校の受験機会は平等に与えられている。落ちて私学に行くのはその人の努力不足
  3. 義務教育は望めばみんな効率に通うことができる
  4. 義務教育ではない以上、所得に応じた学校を選ぶのは当然ではないか
と発言されているらしい。知事自身は北野高校のご卒業だそうなので、確かに努力の末に希望の公立高校に合格されたのだろうが、現状、大阪府の3分の1の高校生が私立高校に進学していることを考えると一律のカットはかなり深刻な影響を与えることは予想できる。それは、他の削減項目に関してもそうであろう。つまりは優先順位の問題であり、利害関係者のみならず社会システムの設計の上でどれを優先するのか、という話になるような気がする。

ここまでの赤字を積み重ねた大阪府の運営が「努力不足」なのだろう。その努力不足の責任は今の有権者や府民につけ回しされているというわけで、私学助成のみならず納得できるはずもないような。

裕福な家庭の生徒のみが通学するのならば、まだ、この話は橋下知事の認識とのずれが少ないと言い張ることも可能なのだが、実際はそうでもない。どこでも同じであろうが、公立高校を受験する際には必ず滑り止めを受験して置くことが必要である。実際に大半の公立高校では不合格の生徒を出すので、それらの生徒は滑り止めに進学することになる。
公立高校を不合格となり滑り止めの私立に進学するのは「努力不足」だと言われればそれでまででるが、学力の不足している生徒の保護者の所得が低い場合には教育機会を奪ってしまうこととなり、その後の「努力」のしようもない、ということに。受験機会が平等ならば低所得な家庭の子供が通う私学は必要ないという結論は正しいのだろうか。

ある程度の学歴がいまだに幅を利かせる場面も多々ある世の中で教育関係の助成金の削除には慎重であるべきではないか、と感じた。

私立高校の「ぜいたく」議論は、全くの間違いではないが、これは公立高校の中に選択範囲が十分に用意されているかどうかとセットになった話のように思う。実際、全く内容が同じ学校を2つ並べて学費が高いが効果は同じという私立を選ぶ家庭は費用対効果を考えるとそう多くはないだろう。

私立を選ぶ生徒が増えているとすれば、公教育への信頼が薄くなっているという面もあるのかも。

大阪府に限らず、教育に関する費用のかけ方(税金の使い方)を考え直して、より多くの生徒が望む教育を受けられる環境をどのようにしたら整備できるのか、について国レベルの施策の変更の必要性もあるのではないか、とも思う。 1自治体の助成金でこんなに大きな話になっているということは逆に言うと国レベルの施策が不足ではないのか、という疑問も。

一之瀬さんは、「普通の大阪のおばちゃんです」と自己紹介されたのでそのつもりで聞いていたが、精力的に活動されていて、自分の中にある「大阪のおばちゃん」の記憶とはかなり異なるような。「普通のおばちゃん」でもここまでやればできます、というメッセージと聞いておくのが正しいのかも。

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