ページ

2014/10/18

濱口桂一郎 「若者と労働」入社の仕組みから解きほぐす

日本の年功序列賃金よりも欧米(でそうであるといわれている)仕事に対して賃金が決まるほうがいいのではないかと漠然と考えていた。

 この本を読むと、
仕事をする能力はない新卒を一括採用するという採用のやり方
と、
会社で人を教育して使える「社員」にするという考え方、新卒採用が毎年あるのでそれにしたがって定期異動もある、などなど全部はつながった話なのだなと(当たり前だが)理解できた。

 欧米型の(というか日本以外はたいていそうであるらしい)採用では、仕事に対して適した人を採用するから実績のない人は採用されにくく、若者の雇用問題というのは必然的に存在する。OECDの調査で「勝ち組」に分類される人の条件が
卒業5年以上の期間、その期間の大部分(70%以上)において雇用に就いており、学校を離れてから初職を見つけるのにかかった期間が六ヶ月未満の若者
というのを実際に読むと「それはちょっと」と思う。

これは今の日本の状況ですらうまく行っていないほうに分類されるだろう。

最近さまざまな企業の人事制度変更の理由づけとして、グローバル化のために年功序列廃止とか若手登用とか言われる。いかにもそれっぽい話として理解してしまうのだが、今の「新卒一括採用」を続けつつ微修正しても「ジョブ」型にはならない。

教育、行政、福祉、企業についての法律など全部を組み替えないと「ジョブ」型採用の社会にはならないように思う。制度だけではなく、一般人が「若い人は就職できなくて当たり前」という社会を受け入れないと、なんだか雰囲気の悪い世の中ができそう。今でも「学校出てふらふらしてる」と言われて非難されるのが普通だろう。

濱口氏は、ロスジェネ世代(40代になりつつある)の救済策、兼、「ジョブ」型への移行を想定したものとして、「ジョブ型正社員」(職務、勤務場所や勤務時間を限定する無期雇用)を提案している。これは、契約社員が何度も反復されて便利に使われてしまっていることや、「正社員」が無限定に責任を負わされることに対するほかの選択肢を与える、という意味でもある。

結局、ブラック企業の問題というのも今の雇用の形態から派生したもので、会社のメンバーになる代わりに無限に責任を負ってがんばりますよ、という昔の正社員のあり方から、「会社のメンバーとは言っても育てもしないし面倒みるわけがないだろ」となったら、無限の責任だけが残ってブラックになった、という。。。

「ジョブ」型社会で気になることとして、大学に必要とされる教育内容がある。職業に密接に結びついた教育ができる形にしないといけない。今の職員にそれが可能なんだろうか。そういえば、小幡績が、これからの雇用には大学ではなく、高専の強化だ、という趣旨のことを書いていた。

 これらの話の前提として経済運営がまともであって、それなりの仕事がある社会であることが必要である。若者の雇用とか女性の活用なんていう話は経済が抜けていると画餅となる。それを考えると、政治がものすごくうまくやらないと「ジョブ」型への転換はうまくいきそうにない。






2014/09/25

[a8イベント] いい快互服 -- 臭いを消す下着

a8イベントで、面白いデモンストレーションをしていた。


この容器にはアンモニアの気体を少し入れてあり、そこに下着を入れて容器を振っているところ。

30回ほど振った後、容器のふたを取ると、アンモニア臭が消えていた。(おそらく、人間に感じない程度には残っているかもしれないが、最初の目にしみるような臭気はなかった)


この下着はDeolというブランドで販売している消臭機能のある下着。

体の臭いはなかなか気が付かない。加齢臭や40代のオヤジは耳の後ろがクサい、などなど、日本では臭いは消すほうがいいという流れになっている。入浴すれば消えるというものでもないし、時間がたって午後になると強くなるのはどうしようもない。

一方、一般の店で売られている消臭下着はアンモニアを分解してしまうほどの効果はなく、ちょっと楽になったかな、程度のものが多い。

もっと強力なものはないのかと気になる人は試してみたい商品だろう。シャツの価格は8000円。 説明を聞いていた他の方からは、「8000円なの?!」という反応もあれば、「悩んでる人は買うでしょうねぇ。」という方もいらっしゃった。

自社開発の技術なのですか? と伺うと、

うちはもともと印刷業でした。 ある大手の企業から、使ってみないかと言われたのがこの繊維でした。 インターネットでだけ販売しているので当初(SEO業者など)いろいろと痛い目にもあいました。 でもスタッフのノウハウが蓄積されて今ではアドバイスができるぐらいにはなりました。 資料にもそのノウハウがあるのでご活用ください。 

とのこと。「 シャツが破れたら箪笥にかけてください。箪笥の消臭になります。 はぎれは靴に入れておくと良いですよ」とおしえていただいた。


2014/09/21

[a8イベント] Oneme store

a8.netのイベントに出展していたKDDIグループのガジェット販売ウェブストア。Oneme

仕入れの目利きが良い。どの商品も奇をてらってはいないがデザインや機能に「ひねり」を感じる。 いいなあ、と思ったのが会場で展示されていたベルソー(Berceau)というブランドのPC用バッグ。



トートのような形で、持ち手、縁の仕上がり、底に打った金具、内ポケットのサイズとデザイン、などの工夫が詰め込んである。日本製で限定30個だそう。本革を使っているので10年ぐらいたつと味が出てくる、と、持つ人を選ぶ商品だ。


価格は44000円とのことで、自分にはちょっと手が出ないが、ストアに出るとすぐに売れたそうだ。
  同じものは伊勢丹でも売っている、と仕入れ担当の方が教えてくれた。商品の上質感が伊勢丹でも高評価だったのだろう。

最近は、ノートPC, タブレットなど本体の他に、バッテリー、電源用コード、USBメモリ、SDカードなど一まとめにしておきたいものが増えてきたので、普通のかばんの形よりもこのバッグのようなトートバッグ風なものがいいのではないか。

他にも、スマートフォン用のバッテリーのようなコモディティーに関しても、デザインが面白いものを販売されている。



OneMeはもともとは独立系の企業としてスタートし、その後KDDIグループになった。
KDDIグループの個人向けビジネスの一つとして位置づけられているようだ。

ストアばかりではなく、blogもなかなか面白い。

お話を伺った宣伝広報(右)と仕入れ担当(左)の方。

いろいろと面白いお話、ありがとうございました。

2014/09/15

水木悦子、赤塚りえ子、手塚るみ子 「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」

三人がそれぞれにプロダクションの社長だったり、フリーな立場で作品のコラボレーションを企画制作している。 企業の二代目が先代をついで社長になる、や、スポーツ選手のこどもが親と似たような競技生活に入る、というのとは違う「まんが家の娘が親の作品に仕事としてかかわる」とは本人にとってどういうことなのか、というところが面白い。 手塚るみ子  手塚プロとは独立な立場でコラボレーション作品制作など。 水木悦子  いわば自然な流れで水木プロへ。 赤塚りえ子  急遽、帰国して社長に。 それぞれの家庭は親であり作家でもある父親の仕事環境の影響を大きく受けている。多くの子どもが経験する親からの独立という課題に、偉大なまんが家である親との距離のとり方というややこしい問題がプラスされていて、本人は苦労があったのだろうなあ。手塚真が父親を「手塚治虫」としてみていた、らしい。
手塚 どこの家庭でも同じようなことはあると思うんですよね。父親が先に死んだとき、子供は父親が残したものを持って自分の道を歩いていかなくちゃいけない。あの毛皮は父の遺した遺産なんですよ。
この「毛皮」とは「ジャングル大帝」に出てくるエピソード。 「ジャングル大帝」に限らずアニメのイメージが強く、どの作品も完全版をまんがで読み通したことはない。 本の中で、三人が親の作品を読んでほしいと強く思っているのは、そういうことなんだろう。 この本は自分にとっては、それぞれのまんが家の作品に興味を持つ導線としても読める。三人がそれぞれ選んだ短編も所収。どれも読んだことがなく、「こんな作品も書いていたのか」という驚きがあった。

2014/07/13

小熊英二「社会を変えるには」

社会を変えることに役に立つ基礎教養、と著者がおわりにに書いているとおり、直接民主制や哲人王などまでさかのぼって、そもそも民主制とは何なのかまでを考える材料を提供している。

社会の見方の一つを提示しているに過ぎないという立ち位置ではあるが、日本にかぎらず「自由」になることで代議制のための「われわれ」がなくなってしまった、というのが基本的な姿勢。同じく自由が増えたことで立場が固定化されなくなった。そのため、カテゴリー分けをして対応するのがうまく機能しない。ここから、お互いが話をして「作り作られる」関係に移行していくだろう、という。

最近まで、なんとか回っていた日本社会の構造は、実はたまたまこの数十年うまく「はまっていた」に過ぎないんだなあ、と。

役所が進める介護や認知症の負担を「地域に」という話。これなんかも負担コストを払う側が参加していないから、うまくいかないんじゃないか、などとも考えた。

最初と最後が現代日本の話、中間は歴史や思想を概観した教科書のようなつくりになっている。

思想や日本史の近代はまとめて読むことはほとんどなかったので、面白かった。


2014/07/07

ダイヤモンド・オンライン 小川 たまか 「やめたいのに抜け出せない」と親たちの悲鳴が噴出

ダイヤモンド・オンラインにPTAの記事が出るのは珍しい。特別なニュースがあったわけでもないので著者の選択によるのだろう。
片働きが減り、共働きが増えるにつれてダイヤモンド・オンライン読者にもPTAが身近なものとなっている、との想定で書かれたのかもしれない。

PTAという組織の問題点として
  • 活動内容がよくわからない
  • PTA会長の仕事内容がわからない
  • 男女差
  • 仕組みを変えたくても変えられない
 が挙げられ、取材から上がってきたPTA会員(保護者)のコメントが紹介されている。タイトルは「悲鳴が噴出」とセンセーショナルだが内容は冷静なもの。

PTA参加にはメリットもあると指摘し、その上で、PTA本来の目的として
PTAのそもそもの目的は、保護者と学校、さらに地域が連携して子どもの成長を見守ることだ。核家族化が進み、地域との連携が薄れていると言われる時代。 学校・地域と連携を取ることの大切さを、それぞれの保護者が身をもって実感し、意識することからPTAの改革が始まるのかもしれない。
として、

あなたが参加するPTAは、果たして変わることができるだろうか。
と結んでいる。

会則を変えるのが難しいこと、新しい手法の導入に消極的な抵抗が多いことなど「PTAあるある」が盛り込まれていて参加経験のある人は同意できるものが多い。

自分のような本部経験者が見ると、「強制加入」を前提とした記事になっているところが問題点だと感じる。多くのPTAがまだ「強制加入」であり読者のほとんどが有無を言わせず会員になっている現実を見るとしょうがないのかな。

おそらく(推測だが)、ここまで取材されているのであれば著者は強制加入の問題はご存知のはず。ほとんど話題にならないPTAの記事を掲載するという条件下で今回の掲載になじむかどうか検討された上で、見送ったのではないか。

「やめたいのに抜け出せない」と親たちの悲鳴が噴出 今どきのPTAはなぜかくも厄介で憂鬱になったのか?

2014/07/05

[linkshare イベント] HP EliteDesk 800 G1 DM/CT

リンクシェア レビュー・アフィリエイト

HP製品で気になっていたものの一つ。HP EliteDesk 800 G1 DM/CT
製品ページへのリンク





受付の机の下など狭いスペースに入れることを想定。筐体の裏にはそのような狭い場所に取り付けるためのねじ止め穴などもある。小さくしてほしいという要望は常にあったそう。静音と省電力。

熱設計は非常によく検討されていて、この狭いスペースにファンがあるそうだ。

組み立てのノウハウのある製造メーカーの特徴が活かせる製品としてはこういう方向もあるのではないか。

省電力の点では、SSD使用時 の消費電力が8W。CPUは低消費電力のTタイプのものになっている。

小型化のため、拡張ボードは挿せない。しかし、
  •  グラフィックに関して言うと3画面をデフォルトでサポートしている。
  •  また、USBは6個のUSB3.0。
  • メモリは購入時カスタマイズで8GBにできる。
など、日常的な用途であれば十分だ。

拡張は必要ないが画面が大きいほうがいいという人は、家庭用としてこのタイプの製品と大き目のディスプレイを買うのがいいのではないか。ミニタワーよりも小さく、ノートよりも画面が大きいので取り扱いが楽だろう。

自分の場合、会社支給のノートPCが重くて持ち運びたくない。私物が使える状況ならばこの小型PCだけを持って行き、ディスプレイを借りて仕事ができるかもしれない。(キーボードとマウスは小型のものを持っていくしかないだろう)。

2014/07/01

[linkshare イベント] ウィラートラベル

リンクシェア レビュー・アフィリエイト
linkshare社のイベントにて。
高速バスのウィラートラベルのブース。

この会社は自社便と共同運航便を持っている。

バスについて力を入れているのは快適な座席の開発。(座席が開発できるとは知らなかった)

リクライニングシートの実物が展示されている。こちらは『ニュープレミアム』。
座ってみると、横幅も奥行きも余裕があった。
普通のバスに座るように腰かけると腰が奥まで届かず、座ってから後ろにずれる必要がある。自分の身長は約175cmだから、かなり座席サイズは余裕を持たせているということになる。
体の大きい人でもゆったり座れるだろう。このシートはふくらはぎをサポートするフットレストがしっかりしているので足が楽。

2つが隣り合ったシートは、1列4席タイプの車両のもの。『リラックス』


今までのものよりキャノピーが深くなるように改善されていて、寝顔を見られたくない(たいていの人はそうでしょう)人が安心して寝られる。
座席ごとに動画が楽しめるディスプレイがあるとのこと。

ウェブサイトはPC用とスマートフォン用がある。会場で見せてもらったところ検索パターンが多い。目的地で検索すると経由も含めて表示。
無料会員登録をすると座席が指定できる。ウィラートラベルはPONTAと連携しているのでポイントが貯まるのが利点だ。

今は和歌山までの路線があるのはJR高速バスかウィラー、和歌山バス系。ウィラーのウェブサイトで検索してみたところ、和歌山まで行く便の座席は1列4席のリラックスだ。これに対してJRは3席なので乗り比べてみる必要がある。となりに人がいてもゆっくり休めるかどうかがポイントだ。

2014年6月から高速道路料金のETC割引が30%になり、ガソリンが高騰しているので老親の遠距離介護で往復を考えると高速バス(和歌山ではレンタカーを借りて移動)も選択に入るようになった。
帰宅後に疲れを残したくないから座席はゆったり寝られるものがいい。

それなら、難波までコクーンタイプの座席のバスが運行しているから、それを選択するのもおすすめですよ、とブースにいた社員の方にアドバイスされた。

難波-和歌山の電車代は安くないが難波で乗車する利点は大きい。いろいろな座席が選択できるし便数が多い。また、乗り場周辺が繁華街なので乗車前に買い物や食事が簡単にできる。一度試してみようと思う。

ブースでは説明員はユニフォーム姿で応対。

WILLER TRAVEL

2014/06/15

IIJ mioと通話サービス

GalaxyかnexusとIIJmioの組み合わせを検討している。
通話機能も使いたいので、安い電話サービスを組み合わせたらどうか、と調べた。

格安SIMとか白ロム、MVNOなどのキーワードでインターネット検索をかけると、アフィリエイトと思われるウェブサイトが多く見つかる。経験談が多いが実際にどうなのか(アフィリエイトしているサービスや店だけを押しているのではないか)との疑念はある。
アフィリエイトは悪くない。しかしこちらが素人である場合は、まず客観的な評価を一通り読み、その後アフィリエイトサイトでの新しい提案を読みたい。

初心者が広く調べるときに確実な情報は、サービス提供元から出ているものだろう。宣伝をかねてはいるが、まともな会社ならできないことをできると言ったりはしない。 不利なことを目立たないように書いている可能性はあるところに注意すればいい。

IIJの人が書いた以下の記事は簡潔でわかりやすかった。
楽天でんわとLINE電話はほぼ同じでLINEのほうが安いという自分の理解が間違っていたことがわかった。

「通話料が安くなるアプリ」はIIJmioで利用できる?(050 plus, 楽天でんわ, LINE電話)

2014/06/11

[DELL][4万円台] Inspiron 14 3000 ベーシック (即納モデル)

DELLの「コードレスパソコン」の安価モデル。

CPU: 第4世代インテル® Core™ i3-4030U プロセッサー (3M キャッシュ, 1.9 GHz)
OS: Windows 8.1 64ビット (日本語版)
RAM: 4GB (4GBx1)シングルチャネル DDR3L メモリ(1600MHz)
HDD: 1TB SATA HDD(5400回転)
LED: 14.0 インチ Truelife HD ディスプレイ (LEDバックライト採用、1366 x 768)

となっている。エントリーモデルの2GB RAM, 500GB HDDよりも実用的。
RAM 4GBよりも8GBがいいかもしれないが、注文ページを見るとRAMのカスタマイズはできない。

即納モデルだとカスタマイズの幅が小さいようだ。

現時点(2014/6/11)では500台限定(創業30周年セール)で 49979円になっていて以前よりも1万円程度下がっていた。

Inspiron 14 3000 ベーシック (即納モデル)

2014/05/19

wordpress.orgをインストールするホスティングを探す

wordpress.comからの引越し先を物色中。

wordpress - The missing manualを読むと、アメリカでも日本と同じで比較サイトや案内サイトの多くはお金のために書いているらしい。彼らはお金をもらっているから注意が必要、と書かれていた。著者がおすすめするアメリカのフォーラムは、Web Hosting Talk , Hawk Host, StableHost, SpeedySparrow, MDD Hostingがその一例とのこと。

日本で適当なフォーラムを思いつかなかったのでとりあえずトラブルの多いところは避けようと思い、wordpress.orgの日本語フォーラムを見てみた。ここでトラブルや質問が多いところは避けたほうがいいのではないかと考えたからだ。

そうすると意外なことにロリポップについては運用上の質問が多かった。逆に言えば、運用はできる、ということだ。実は安価なプランは共有サーバーになっているからトラブルが多いのではないかと思っていた。 GMOの株主優待が効くからロリポップを選んだという知人がいたが、2014年からは優待の対象からロリポップがはずれた。
料金はオプションなしの最安値プランだと250円/月で50GB。 wordpress.comホスティングでドメインホスティングや容量の20GBまで拡大、広告オフなどをパッケージにしたオプションが$99であることを考えるとロリポップ上で自分で管理できるのであればロリポップのほうが安価になる。

 ロリポップ上ではwordpressを含むいくつかのパッケージはあらかじめ許可されている。


2014/05/04

change.orgでの活動: 「PTAは任意であることの徹底周知とPTAへの入会同意書の義務付け」

PTAは任意であることの徹底周知とPTAへの入会同意書の義務付け
のための署名をchange.orgで呼びかけている方がいらっしゃった。

最近は「やらなきゃいけないなら楽しくやりましょう」みたいな開き直ったポジティブさんが増えているのを先日のNHKのエデュカチオを見ていても感じる。しかし、その活動はそもそも強制されてやるものじゃないよね?

前提が「やらなきゃいけないなら」というところにあると、結局、もやもやした強制感を隠し持ったまま参加することになる。一方で「会長をやるのが好き」という人もいるだろう。そういう人は能力を十二分に発揮してもらえばいい。

NHKの番組では、PTA役員をやることで学校にも頻繁に行くことになり、学校の様子がよくわかるし他の子の様子もわかってよかった、という保護者のコメントが取り上げられていた。この点には非常に違和感を感じる。

学校は頻繁に学校に行けない保護者に対して、学校のことをしらせる手段を持つべきではないのか。PTA役員になって頻繁に学校に行かなければなかなか学校のことが分からない、ということは学校の解決すべき課題だろう。よくあるパターンで言えば、2割(そんなにいないかも)の熱心な人、6割のまあまあの人、2割のがっこう嫌いの人、という3パターンの真ん中の6割に情報を積極的に届ける手段を持つべきなんじゃないかな。

「学校のことなんて知りたくない」と拒絶している保護者はとりあえずほっておいていいと思う。

2014/04/20

小林よしのり 中森明夫 宇野常寛 濱野智史 「AKB白熱論争」

この対談を読んでいると、AKBというビジネスが提供する場所にファンが参加することでAKBが成長していくことの実例に見えて面白い。

AKBの成長にファンが入り込む仕組みについて、宇野常寛が次のように言っている。
秋元さんは、半分しかシナリオを書かないわけですよね。自ら作る半分は徹底的に
作り込んで、残りの半分はガチンコのファンやメンバーの自主的な活動に任せる。だから、ガチンコなのに文脈的にも面白い空間ができるんだと思います。そこが神がかり的なところで。

そういった「参加している感」が総選挙や握手会のような仕組みでうまく吸収されるというところが面白い。しかし、握手会なんてほかでもやっているのにAKBで一層盛り上がっている。
それについては、
したがってAKBのシステムは、むしろ実存と実存のぶつかり合いを活性化させる方向に動いてる。システムと実存がここでは対立してはいない。むしろ結託して いる
とシステムがうまくできているということに理由があると分析している。
後半、小林よしのりが宇野常寛の資本主義に対する信頼が深いと感心していた。結局、それをどの程度信頼するかでAKBの未来を信じるかどうかに差があるのかな。
AKBを切り口に政治や文学を語ったりしているのが、いかにもファントークにありそうで読んでいて楽しい本だった。

2014/04/17

ロコモティブシンドローム

googleでlocomotie syndromeを検索してみるとあまりヒットしない。
 6600件ほどである。
しかも上位に来ているものがだいたい日本発の論文やウェブサイト。 

インターネットの検索結果のみから言えることは少ないが、2つの可能性

  • 急激な高齢化が進行している日本で問題になっている
  • 他国では日常的に体を動かすことが多いため日本ほど問題になっていない

を考えてみた。

先進国は程度の差はあれ高齢者が増加している。
たとえば米国を見ると、NIHは、高齢者向けコンテンツのウェブサイト NIH Senior Healthを運営している。コンテンツはエクササイズから食事、アルツハイマー患者へのケアなど多岐にわたる。 

カタカナで語られると「海外での先進的な事例を遅れている日本に輸入しているのだ」と思い勝ちである。しかし、実際には、この部分だけを取り出して対策を進めているのはむしろ日本独自の取り組みであるらしい。 他の言語が読めないので米国以外の事情はよくわからない。

Google翻訳も長文になるとかなり機械翻訳っぽくなってしまう。もう少し改善されないかなあ。

しかし、この概念は日本で始まったのなら日本の高齢者はより運動するようになっているだろうか。

2014/04/11

川端裕人×木村草太 「入会なんて聞いてない ―― 父親たちの語るPTA」 掲載

有料メルマガのα SYNODOS で以前に連載されたPTA問題の対談がSYNODOSのウェブサイトで公開されている。 有償の購読者には「あれれ?」という感じがあるかもしれないが、新PTA会員(もちろん強制加入)の人たちはぜひ読むべき。また、「好意」でやっているPTA本部の人もこういう議論があることは知っておくべきであるとおもう。その上で自分たちの行為を正当化していればいいだろう。

とにかく、ありがとう SYNODOSの中の人。

入学式と役員決めなどなどがあるこの時期にタイムリーな話題。

入会なんて聞いてない ―― 父親たちの語るPTA 前編

大きな慣性に逆らって――父親たちの語るPTA 後編

木村 強制加入はどう考えても違法だと私はおもっています。シノドスでのインタビューでも述べていますが、常識的に考えてもおかしいです。
木村さんはシノドスのインタビューでも「違法PTA」の話を法学の研究テーマの一つとして語っている。

わたしたちの自由はどうやって守られているのだろう ―― 繊細な憲法を壊さないために 憲法学者・木村草太氏インタビュー
好きでPTAに入会されたのであればとくに問題はないですが、入退会が自由でないPTAや、強制加入させた会員に仕事を押し付けるPTAは、「違法PTA」なんですね。 みなさんあまりご存じないですが、PTAってどうやって会員名簿を作っていると思いますか? 団体は、まず名簿がないとつくれません。名簿をつくるためには、入会申請書をつくって、手続きに従って申し込みをしてもらう。その方を会員として名簿に記録する。それは会社でも、町内会でも、どんな団体でも変わらないことです。

しかしPTAのなかには、入会申請書を作ってもいないし、届けてもいないのに保護者を会員登録してしまうPTAがある。なぜこんなことができるかというと、学校から流してもらった名簿を使って会員名簿を作るからです。法的には、そもそも、この時点でアウトで、違法PTAになります。なぜなら、これは学校による「同意のない個人情報の第三者提供」を前提とした運営だからです。

あるいはクラスの誰かが名簿をPTAに渡してしまう場合もある。これだってやっぱりアウト。この場合は、渡してしまった人が、個人情報の第三者提供をしていることになりますね。つまり入会申請書を集めてもいないのに会員名簿があるPTAは、そもそも違法PTAなんですね。

PTA本部にいたときは、名簿は会員(強制加入した保護者)には配布していなかったけれども、学校から提供された情報を元に本部がもっていた。もっていなければ各地域ごとの役員決めなどもできない。

自分が大きな問題だと思っていたのは、大変な状況(たとえば単親家庭で夜の仕事)なのに「どうしてもやらなければいけないなら、やります」と引き受けて忙しい思いをする家庭を出してしまっていたこと。この場合、「同調圧力」による押し付けに近かった。それに、退会規定も当然ながら存在していなかった。

川端さんの「入り口・出口の両方と、困った時に歯止めになってれるセーフティネットもちゃんと整備しとかなきゃとおもいますよ。」という問題提起に対して、

そこは私も注意をしていて、入退会自由なのは当然の原則であり、また、入らない人をいじめたりした場合は、不法行為になって損害賠償ものですよ、と必ずセットで言うことを意識しています。
なかなかしぶとい強制加入PTAだが、日本社会がより開かれたコミュニティを持つためにもPTAに出たり入ったりが普通にできる世の中になってほしい。強制加入反対を唱える人がコミュニティが不要と考えているかというとまったく違うのだ。強制加入を主張することがかえって学校コミュニティを壊している可能性すらあるのではないだろうか。

2014/03/28

[HP][5万円台] HP Pavilion 500-210jp/CT トリプルアップグレードモデル

リンクシェアのアフィリエイトメールを見ていてこれはよさそうだなと思ったモデル。

HP Pavilion 500-210jp/CT トリプルアップグレード
59,850 (税込) < 通常より29,085円オフ
をベースにカスタマイズできる。


この価格には以下のアップグレードが含まれる (3月31日まで)

23型 IPS非光沢 23bwモニター無料
KINGSOFT® Office2013 Standard (ダウンロード版) 無料
3年間引き取り修理サービス 無料
なんでも相談サービス 30日用 無料

この中で一番価値があると個人的に思うのは引き取り修理3年間が無料でついてくること。
本体スペックは以下の通り。
消費税増税前の駆け込み需要対応のアップグレードか(?)。だとしても、AMDはいやだという人はでなければコストパフォーマンスがいい。

OS: Windows 8.1 (64bit)
CPU: AMD A10-6700 APUプロセッサー
メモリ: 4GB (4GB×1)
ハードドライブ: 500GB
DVDドライブ

icon icon

2014/02/25

[Lenovo] [2万円台] YOGA TABLET 8

YOGA TABLET 8は、Thinkpad YOGAのAndroid搭載モデル。


CPU:MediaTek MT8125 1.2GHz クアッドコア プロセッサー (1.20GHz)
 OS:Android 4.2
 ディスプレイ:8.0型ワイドIPS液晶(1,280x800)、マルチタッチパネル(10点)
 RAM:1GB(LPDDR2)
 フラッシュメモリ:16GB
 ワイヤレス:802.11b/g/n ワイヤレスLAN (WiFi準拠)

クーポン適用価格 :¥ 23,800-
 (☆さらにキャンペーンに応募すると《4,000円》のキャッシュバックあり)

Lenovoは徐々にtabletを強化している。今後はThinkpadのノートPCよりもこちらに力を入れていくのではないだろうか。
8型よりも画面の大きい10型もある。

画像を見ると、ちょっと斜めに角度をつけられるスタンドが出るようになっているらしい。
使うときにできるだけ液晶に正対したい人の場合はうれしいだろう。
基本的な性能は各メーカー横並びになるだろうから、端末自体の使いやすさで選択するのがいいのではないか。

追記:
Hulu.jpを確認したところ、Lenovoのandroid端末はhuluのサポート端末には入っていない。(ちょっと意外)

2014/02/21

山田 悟 「糖質制限食のススメ 」

糖尿病の食事療法として、糖質制限食が選択肢の一つとして適切であることをポイントごとに医学研究資料を検討する。また、否定的な研究についても検討している点がよい。

まず、最初に糖質をどの程度に制限するのか、という点で定義を明確にする。
バーンスタイン医師の最大130g/日をより具体的に、一食あたり20gから40gの間と定義する。
これはバーンスタインの130g/日だけでは、一食で130gを摂取し、ほかの2食で0gのような極端なケースも含まれることに対する制約という意味でもある。

健康に悪影響がないのか(この点が非常に気になる)、生活の快適性が損なわれないのか、
これまで糖質制限食の健康への悪影響を調査した論文をとりあげ、上記の定義に収まらないものや摂取する栄養が偏っていた研究などを排除すると、注意点は二つになるようだ。

動脈硬化などを引き起こす可能性。この点についてはそれを否定する研究があること、および、植物性食品を摂取すれば問題ない。

ケトアシドーシス。これについてはアトキンスダイエットのような厳格な糖質制限で起こること、事例が少ないことを紹介した上で、体内のケトンの安全な量についてはわからないこともあるとしている。

上記の定義に沿った具体的な食事は、ご飯半膳や食パン半枚とおかず、あるいは、芋などに注意して主食なしでおかずたっぷり。醸造酒を避ければ飲酒も制限なしでいい。

有名な江部医師の提案についても言及しているなど、目配りが広く、論文検証が多い点が安心感のある内容だ。



2014/02/13

水無田気流 「無頼化する女たち」

無頼化とは、
社会的に自立している
文化的規範から逸脱している
という2つの要素を持つ。

日本の男性中心社会(旧来の規範)とぶつかりながら自立していくという成功物語ではなく、表と裏のコードがある中で女性は無頼化せざるを得ない。

裏コード(育児の負担など)がどんどん巧妙に隠されるようになってはいるが、表コード(雇用機会の均等)との矛盾が解消されたわけではないから、女性の状況は厳しくなっている。何度か繰り返し書かれているのは、女性の主張として流行するものが「負け組」への視点を欠いているということ。
たとえば、「負け犬の遠吠え」は、「勝ち組負け犬」であるし、「おひとりさま」の老後はある程度の財産を持ちゆとりを得た人に当てはまる話だ。いずれも低所得層にはあてはまらない。

この本によると、育児の理想的な方法が、日本だけではなく各国で多少保守的だそうだ。日本の場合、育児や女性の家庭での役割といったことになるとかなり保守的な傾向になる。そのことと、女性の社会進出だとか、最近言われる女性の取締役を増やす、など、建前の部分の話は大きく矛盾している。

育児に関して言えば、理想像が現代の基準で見るとあまりに保守的であり、専業主婦前提のスケジュール作りがなされているため、育児そのものの大変さと検診など行政の都合に合わせるための調整がそこに加わる。

社会の矛盾が社会的に弱い女性の状況を通して露呈している、ということだろう。

「普通にしていたら子供は産めない」社会は変わっているのか?表の話(ワークライフバランス、イクメン、女性管理職増加、待機児童減少)ばかりが先行しているように見える。この本の流れでいえば、「負け組」の状況は改善していないどころか悪くなっているのではないだろうか。

追記。
西森路代との対談「女子の国の歩き方」と書き下ろしを120ページにわたって新規収録した『無頼化した女たち』(亜紀書房)が2014年2月に刊行。

2014/01/31

福井 健策  「ネットの自由」vs.著作権: TPPは、終わりの始まりなのか (光文社新書)

TPPの交渉対象項目であるにもかかわらず国内のニュースにはあまり出てこない知的財産権。
この本の最後にはインターネット上にリークしたアメリカの要求内容が収録されている。
韓国とアメリカのFTAではアメリカの要求(TPPの案と同じ)を韓国はそのまま受け入れ、かなり不利な状況になっているのだ、とか。

著作権保護期間の70年間への延長、著作権侵害の非親告罪化などこの本で取り上げられている項目のいくつかは、アメリカからの要求に応じて既に文化庁あたりで検討中。
また、最近、メロディーの商標登録を可能にする、というニュースがあった。これもリーク内容にあったもの。日本はアメリカの要求を「先取り」して導入し始めている。

一方で、アメリカで「使える」仕組みであるフェアユースは、アメリカの業界が日本に来て「日本には導入しないように要求」したそうだ。これは日本のインターネットサービスの開発を考えると導入しておくべきなのだが、あまり検討が進まない。

全体としてみると、この本の出版以降の状況は、アメリカの要求にかなり沿ったものになっているように見える。

本書では、そもそもどのようなルールが豊かなコンテンツを楽しむという目的に合致するのかと問題提起する。たとえば、非親告罪化すると二次創作の意欲を阻害することになる。現状の「ふるふわ」から、どのようにすれば、良質な二次創作・同人誌などを守り劣悪なものを減らすことができる制度になるのか、など。

著者は広い議論が必要、かつ、さまざまな試みをしてくべきと考えているようだ。だから、わかりやすい「回答」を示すことはしていない。さまざまな試みの一つとして、この著者も関係している同人マークがあるのだろう。たぶん、このマークは非親告罪に対応しているものだと思う。

TPPでは農業など政治的に保護したいものを日本は持っている。その身代わりに知財権を差し出すことになったらいろいろ困ることが多い。しかし、最近のニュースのTPP閣僚会合の大臣たちの顔を見ると農業が主要な議題だったりしていそう、と心配だ。