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2014/07/13

小熊英二「社会を変えるには」

社会を変えることに役に立つ基礎教養、と著者がおわりにに書いているとおり、直接民主制や哲人王などまでさかのぼって、そもそも民主制とは何なのかまでを考える材料を提供している。

社会の見方の一つを提示しているに過ぎないという立ち位置ではあるが、日本にかぎらず「自由」になることで代議制のための「われわれ」がなくなってしまった、というのが基本的な姿勢。同じく自由が増えたことで立場が固定化されなくなった。そのため、カテゴリー分けをして対応するのがうまく機能しない。ここから、お互いが話をして「作り作られる」関係に移行していくだろう、という。

最近まで、なんとか回っていた日本社会の構造は、実はたまたまこの数十年うまく「はまっていた」に過ぎないんだなあ、と。

役所が進める介護や認知症の負担を「地域に」という話。これなんかも負担コストを払う側が参加していないから、うまくいかないんじゃないか、などとも考えた。

最初と最後が現代日本の話、中間は歴史や思想を概観した教科書のようなつくりになっている。

思想や日本史の近代はまとめて読むことはほとんどなかったので、面白かった。


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