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2011/01/26

ゲイリー・ハメル 「経営の未来」

数々の技術的なイノベーションが大成功した製品を生み出した。しかし、企業の経営管理手法にイノベーションはあったのか?著者によると今の企業の経営管理の手法の中で古いものは南北戦争のころに確立されたものもあるのだとか。

製品や技術のイノベーションを起こすことがなぜ必要かというと、それによって企業が競争を避けられる(ぬきんでた製品を作れる)からだが、技術イノベーションは追いつかれやすい。これに比較すると、経営のイノベーションを模倣することは難しい。なぜなら、それは、企業のよって立つ基盤そのものが従来の手法から進化しているからだ。

ホールフーズ、WLゴア、グーグルなど従来の経営管理から離れた手法を採用し、業績を伸ばしている企業の経営管理体制が例として出てくる。このやり方が生き残るかどうかは分からないわけだが、少なくとも従来の手法の企業と一緒にダメになることはないのかもしれない。それより早く破綻することもあるかもしれないが。

ウェブなどインターネット技術により多数の社員の知恵を現実的な(コストのかからない)やり方で活用することが簡単になっている。この集合知を活用するには、コストのかからないやり方でまず試してみて、政治的な課題はあえて避けるようにする、など、実際の変革につながる行動についてもヒントを書いている。

なんとなく変革をおこせるのではないかと思えてくる「元気が出る」本だ。ドラッカーはやや内容が古いこともあり賛否両論ありそうなので、会社によってはこの本の方が体制の変革につながるかもしれない。

しかし、本書にもあるように、下からイノベーションを起こすための変革は「今、上にいる人」や「管理する部署」の権限を小さくすることになる。このため、抵抗を生んだり、変化を拒否したりする動きは必ず発生する。これから何年かかけて「新しい経営モデル」が確立されるのかどうか、著者は「正解は分からないが、とにかくやってみることだ」と示唆しているように思う。


2011/01/24

[スーパーGT] 2010 第8戦 もてぎ

スーパーGT

2010年 第8戦 もてぎ

放送:JSPORTS
実況:下田恒幸
解説:由良拓也、飯田章

第7戦 の富士が中止(台風9号のため)。いきなりノーウェイトのレースに。
チャンピオン争いはレース開始時点で、500クラス9台、300クラス6台に可能性がある。

13号車にはアンドレ・クートに変わり、カルロ・バン・ダムがドライバーとして搭乗。

ENEOS SC430
スタート後、ピットストップ20秒のペナルティが指示される。
グリッドにつくためにピットから出るのが早く、ピット出口の信号が赤の状態で通過してしまった。
「20秒はきびしいですね。」(飯田)
ペナルティで最後尾に落ち、優勝争いからもチャンピオン争いからも脱落。
伊藤大輔選手は移籍3年めになり、今年は確実にポイントを加算できていたのだが、最後にハプニングがあった。

PETRONAS TOM'S SC430
スタート直後に3番手までロッテラーが上げてきて、KEIHIN, ウィダーのHSV2台をオーバーテイクしてトップ。その後はトップを維持して優勝。
「TOM'Sは今回は苦しいね、と話していた。ドライバーみんなTOM'Sは苦しいと言っていた。フタを開けたら違いますね。」(由良、飯田)
早目のピットイン戦略が成功。

ウィダーHSV010
スタートはロイック・デュバル。PETRONAS TOM'Sにオーバーテイクされてもそれ以下を引き離して2位を保つ。後半は小暮が脇阪の背後につけたままの走行。300クラスを利用して引き離したり接近したりのバトル。
「ここで小暮が引くのは、だいぶ成長しましたね。」(飯田)
「脇阪の挑発にのっちゃいけないです。」(飯田)
2位でシリーズ優勝を確定。
チームからは無理するなと言われていたようだが、小暮は車の調子がよく、行けると考えていたようだ。
ホンダワークスの童夢は初優勝。過去2回は、ARTAと無限。

HASEMI TOMICA Z
スタートのポールポジションからトップを維持してポールトゥウィン。
スタート前に一戸恵梨子が「この順位でフィニッシュすればチャンピオンですね。」と言っていた通りになった。この時点では優勝した上で、下位が全部沈んでいないとシリーズ優勝できない状況だったのだが、「優勝では無理だなあ、と放送席で言ってたんですが、彼女が引き寄せちゃいましたかね。」(由良、飯田)

JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430 と JLOC ランボルギーニ
JLOC86号車 山西とJIM GAINER 平中が38Lあたりからバトルを続け、山西が前、平中が後ろの状態で最後まで。ランボルギーニはインを閉めずフェラーリにコーナーで抜かれても次に抜き返す、の繰り返し。
「山西選手、冷静ですね。」 (由良)
山西がアウト側のラインを取り両者が接触、最後にはJIM GAINERのウインドウがはがれて、空力的にやや不利になったようだ。

ARTA ガライヤ
スタート時点ではポイント上有利。
ペースが上がらず6,7番手あたりでかなり引き離されていた。後半、初音ミクポルシェとの接触などもあった。
最後まで優勝争いには絡みながら残念な結果になった。

2011/01/19

佐々木俊尚 「電子書籍の衝撃」

電子書籍がビジネスとして回るための条件として
  • デバイス
  • プラットフォーム(販売、入手のシステム)
  • フラット化(既存出版社以外のルートでの書籍化)
  • マッチング(読者に対する本の推薦など)
があると著者は整理している。

背景情報として、書籍の取次、委託販売ビジネスの成り立ち、音楽ビジネスのダウンロード市場でアップルが果たした役割、現状のアップル、アマゾンの電子書籍マーケットの契約内容など初めて知ることが多かった。

将来はリアルな書店での本との出会い以外に電子書籍で本の情報を得る方法として、ソーシャルネットワークが重要になる。しかも、小さなコミュニティとして「自分にとっての良い書評家」のような存在から情報を得ることが多くなるのではないか、と著者は予想する。本書では渡辺千賀、「私の知らないスゴ本はきっとあながた読んでいる」という有名なblogを例に挙げている。しかし、著者の予想が当たっているなら役に立つのはこういったメジャーな書評blogではないだろう。

電子化されたマーケットでも、本を展示、試し読みできる書店という場所の存在は本を探す上で重要だと思うので、書店にて自分の端末にダウンロードできる、というのでもいいかな、と自分は思う。もちろん、インターネット上で直接ダウンロードでも問題ないのだが、リアル書店に対して「紹介料」を払って電子書籍を入手したい。著者は書評blogなどが重要になる未来を予測しているが、見本を展示して立ち読み自由なリアル電子書籍店があってもいいと思う。


出版された時点では新鮮な情報を書いた本だったはずだが、今(2011/1)読むと、既に情報全体が古くなっている。ここにまとめられていることが多くの点で現実になっている、あるいは追い越されているからかもしれない。そういう意味では少し古い雑誌の特集記事を読んだような読後感だった。

本書は出版前にデータでダウンロード(たしか105円だったと記憶している)できたことでも話題になった。新書本サイズの印刷本の価格が1100円は高いというのが自分の感覚。

2011/01/16

小寺信良 「USTREAMがメディアを変える」

Ustream でちょっとしたイベントを流そうとするとどういうメンバーがいればいいのか、というのを説明している本は案外少ない。また、(仮の話として)同じことをTVでやろうとしたらどれくらいかかるのか、などの情報はなかなかない。

Ustreamを含むインターネットでの動画ストリーミングを扱いつつ、それと対比する形で今のTVの問題にも言及し、そこから、「ブロードキャスト」にインターネットライブ中継が及ぼす影響まで話が広がっている。

ビジネスに利用する場合の使い方と効果、出演者の選択、肖像権的問題など、運用技術的なポイントはノウハウ本からは欠落しがちな部分として重要。

著者はTVを全面的に否定しているわけではなく、たとえば、周到な準備で行うニュース取材のような場面では報道企業は今後も重要だろうと予測する。一方で、いわゆる娯楽的番組では

  • TVを録画して見るという文化は「ダビング10」の影響もあって徐々に衰退
  • TV離れは日本に限らない傾向
  • 日本のTVの制作現場では若い世代が入ってこない
  • 面白いものがつくれない制作現場になっている
など、現状のTVのコンテンツ制作の将来は明るくないらしい。

一方で、ニコ動でお酒を飲みながら公序良俗の面で賛否の議論があるようなものを流す、というような方向性がどこまで許されるのかと言った内容については、コンテンツをチェックする機能はツイッターなどシステム外部からのコメント連携などにより実現している、と説明している。

これについては、この本の執筆以降に放送法が変わったことにより有線での放送をカバーすることになり、インターネット中継も対象となった。この面についてネット上の議論も広がってはいない。
最後の章の一文
ユーストリームが示す最大の可能性とは、このブロードキャスティングの再起動なのである。
を著者は「マスメディア」に対して投げかけたかった、のかもしれない。


2011/01/15

[NASCAR] 2010 第33戦 タラデガ

[NASCAR]
2010年 第33戦 タラデガ

放送:G+
実況:福徳一志
解説:石見周

2.66マイル(4.28km)×168周
ターン33度、フロント16.5度

 トライオーバル

リストリクタープレートレース

デニー・ハムリンが前戦で優勝し、ジミー・ジョンソンとのポイント差を詰めた。
リストリクタープレートレースではドラフティングパートナーを以下に見つけるか、がポイント。

デイル・アーンハート・ジュニア
得意のリストリクタープレートレースで好調。リードラップも久しぶりに取る。
速い車で調子が良かったが、ジェフ・バートンと接触して車のリアが壊れた。
修理して走行再開したが、リタイアの少ないレースだったので39位。
自分のミスでバートンを巻き込んでしまい、ジョンソンのサポートもできず。
調子の良いレースで成績を上げる必要があったのに、ミスで自滅。

ジェフ・バートン
ジュニアにプッシュされてクラッシュし、リタイア。
ジュニアがすぐに謝りに行ったようで、インタビューでは機嫌も治っていた。
「笑ってますね。ジュニアがすぐに謝りに行ったんですね。」(石見)

デニー・ハムリン
ジョンソンの前でフィニッシュするのが必須だった。途中で車のトラブルでラップダウンし、なかなか前に出られなかった。ラッキードッグパスで復帰し一桁でフィニッシュ。
「ラップダウンしたことを思えば良い結果。」
ジョンソンより後ろの順位だったためポイント差は開いた。

ケビン・ハービック
クラッシュに巻き込まれてフロントが大破。テープで修理して走るが順位は上がらない。
最後のリスタートでそのクラッシュの原因となったボーヤーが押してくれて、2位。
勝てたかどうかのきわどい判定だったが、「もうちょっとのところだったみたいだね。」とまあ満足の様子。

ジミー・ジョンソン
ずっと後方で慎重にクラッシュを避けて走行。
最後の15周あたりでピットから「Let's go」と声がかかるとスパートしてトップまで出た。
「Let's goと言われて前に出られるんだからすごいですね。」(石見)
しかし、ドラフティングパートナーのジェフ・ゴードンがトラブルで下がると順位が維持できず。
「ゴードンが押してくれる作戦だったのだが、前に出るのが少し速かったかもしれない。ラインをブロックされてなかなか前に出られなかった。」とコメント

クリント・ボーヤー
ケビン・ハービックを押して上位まで出ると最後のリスタートで前に出た。ホワイトフラッグ後にクラッシュがあってコーション発生。そのときわずかに前に出ていたため優勝。
「タイトでクラッシュしてしまった。さすがに気分がよくなかったのでハービックが前に来た時は押した。」

2011/01/13

[WTCC] 2010 岡山

World Touring Car 選手権
2010年 岡山

日本選手は、谷口信輝、谷口行規、柳田正孝、伊藤義博

3年連続の雨レース。

race 1
SCスタート。
BMWのプリオール、ファーフスにハフが続く。
BMWがコンディションに合わず、ペースが上がらない。ハフがトップに立ち、プリオールは2位。
Yミュラーが8番手スタートから上がってくる。
BMWのターキントン、ファーフスはYミュラーにオーバーテイクされて、ミュラーはプリオールの後ろの3位。

ファーフスはタルキーニと接触があったのかリアを大きく破損したまま完走。

谷口行規がトム・コロネルとのバトルでTVに映る。コロネルの前でインデペンデントクラスの優勝。


 race 2
SCスタート。
Y.ミュラー、プリオール、ハフが6、7,8位。
プリオールがハフにオーバーテイクされた後、止まり切れずにコースアウトしてスタック。
タルキーニはファーフスの前を走っていた状態でコースアウトしバリアをヒット。
チャンピオンシップ上位の2台が共にリタイアとなった。
トップ走行していたニケアはSCが導入されたあとのリスタートでリズムを崩し、コースアウトして順位を8番手付近まで下げた。

プリオールとタルキーニがリタイアしたことでYミュラーは、チャンピオンシップで有利になるため、安全走行に切り替えて3位を確保。
 トップにファーフス、2位にターキントン。

2011/01/12

[SWRC] 2010 第10?戦 フランス

SWRC

放送:JSPORTS RallyWorld
ナレーション:山崎岳彦

プロコップはこのフランス戦でシーズンを終了。
DAY 1
ポンスはステアリングの故障で5位。
ブリニルドセンがトップ、サンデルが2位。
ケトマーはターマックラリー初ながら4位。

DAY 2
ブリニルドセンとサンデルがDAY2終了時点で14秒差。
ブリニルドセンはパンクによりタイムロス。

DAY3
ブリニルドセンが攻めすぎてリタイア。
「2位は欲しくなかった」
サンデルが1位。
ブリニルドセンのリタイアにより後続は1順位ずつアップ。
コスツシュコが3位。ケトマーが2位。
ポンスはコスツシュコに抜かれ4位になりシリーズ優勝に黄色信号。

2011/01/11

[MotoGP] 2010 第17戦 エストリル

MotoGP
2010 第17戦 エストリル

放送:G+

前日の予選日は雨で予選が中止(2009年のもてぎと同じような状況)。フリー走行のタイムでグリッドが決まる。

moto2
実況:高橋雄一
解説:青木拓磨
予選タイム107%ルールで、オリベ、ディメリオ、國川浩道が予選落ち。

前日までの雨でウェットパッチがまだ残っているコースでのドライレース。
スタートから、WSSの2年連続チャンピオンのソフォーグルが前に出てリード。
先頭はエルナンデス、タルマクシを含む3台。
高橋裕紀は9番手走行中の4Lに転倒。
レース後コメントでは「イン側に誰か入ってきて一本外のラインに行ったらウェットパッチがあって転倒。」
エルナンデスも転倒してしまう。
エリアスも後ろの集団で転倒し、モリワキのコンストラクタータイトルのポイントを稼げず。

ソフォーグルはレインタイヤかカットスリックだったのか中盤からペースが悪くなり、他のバイクにどんどんパスされる。
後方のイアンノーネは4番手まで上がってトップにからめそうなペースで攻め続け、転倒。

後ろの集団にいた、ブラドル、バルドリーニ、デ・エンジェリスが表彰台に上った。
ブラドルは2008年の125cc以来の優勝。

MotoGP
BSタイヤは昨年よりも柔らかいコンパウンド。
ペドロサが復活。ミカ・カリオの代役でカルロス・チェカが出走。


スピーズがサイティングで転倒。足首をいためて立ち上がれない。グリッドまで戻れずに欠場になった。(全日本だと何度かみたことがあるアクシデントだがMotoGPでは初めてかも。)

ロレンソ、ヘイデンがトップを争う。
ヘイデンをロッシがオーバーテイクし、ロレンソとロッシのトップ2争い。
ロッシ、ロレンソ、ヘイデン、シモンチェリ、ドビツィオーソ、ドピニエ、ペドロサ。

4位集団「1コーナーでミスをするライダーが遅れる。」

ロレンソがロッシをオーバーテイク。
ロレンソがロッシよりも明らかに速く、最後にはかなり離れた。

ストーナーが転倒。ミカカリオの代理参戦のチェカもトラブルでピットへ。

ドビツィオーソとシモンチェリは最終ラップの最終コーナーでも競っており、フィニッシュライン手前でドビツィオーソが前に出て3位。

125cc
小山知良はサイティングでエンジントラブル。修復して再スタートしたら3lapダウン。


途中降雨により6Lで赤旗中断し、2ヒート制。残りは9Lapのスプリントレースとなった。

1ヒートではテロルとマルケスが1,2位の状態。
マルケスには「P2OK」のサイン。
この状況での指示を聞かれた坂田さん
「絶対転倒するな。様子を見ろ。残り5Lapで争うメンバーが少なくなったらしょうぶしてもよい。それまでは我慢しろ。」とアルサモラと同じような指示をするだろう、と回答。

2ヒートへのサイティングでマルケスがスリックタイヤで転倒。
グリッドに戻れない。
グリッド上のアルサモラ氏も気が付くのが遅く、ピットで緊急修理。しかし、ピットクローズには間に合わず当初の2グリッドには付けない。ウォームアップラップには間に合わせて最後尾スタートとなった。

小山は規定周回数が不足のため2ヒートには出走できず。

マルケスはスタートでロケットスタートを決めて、5番手。
3番手まで上がり、テロル、スミス、マルケスの3台が固まり。
スミスはテロルとマルケスの間に入り、マルケスとテロルの差を保つチーム方針。

スミスはマルケスにオーバーテイクされ3位。
マルケスには「2P OK」とのサインが出る。
「2位でOKと言われても後ろのスミスがいるので2位キープも難しい」(坂田)
テロルとマルケスは最終Lapでも抜きつ抜かれつ。
テロルがオーバーテイクするとマルケスがクロスラインで抜き返す。
最終コーナー手前でマルケスがテロルを抑えて優勝。

マルケスは珍しくウィニングランで喜びを表現。

マルケスは今シーズン10勝目。

2011/01/10

西田 文郎 「エジソン脳をつくる「脳活」読書術」

飯田泰之の「経済は損得で理解しろ」の編集者をtwitterでフォローしていたらこの本の最初の章のPDFを配信する、というツイートが流れてきた。
PDFを読んでみたらちょっと面白そうだったので、自己啓発本かなと思いつつも購入。


成功する人にとって、成功することは「自転車に乗るようなもの」。この比喩のポイントは、できてしまった人ができなくなることはないし、できなかったときのことは思い出せないぐらい自然にできてしまう、というところ。

しかし、凡人が読書によって得たひらめきから「成功」に結びつけることが簡単かと言うとそうでもない。そのためには、今までの「失敗体験」イメージを切り離すために「かも」の法則を使う、など具体的なアドバイス。

この本を読んでから実行しているのが3冊並行で読書(専門的な本、簡単な本、その中間)という話。確かに、ずっとプログラミング言語の本ばっかり読んでいるとどんどん効率が落ちる気がするので、言語本⇒ミステリ⇒経営論、などとローテーションさせてみると気分転換になっていい。

この本の中で一番驚いた、と言うか、ほんまかいな、というのが以下の文。これ本当なんだろうか。

「天才とは1%のひらめきと、99%の努力である」。
(略)
ただしこの言葉は、当時の新聞記者の聞き間違いがもとで、エジソンの真意とは間逆の意味で広まってしまったことが、後になってわかっています。
 多くの人はこの言葉を、エジソンが、努力の重要性について言及した言葉だと思っているはずです。しかし、エジソンの意図は、全く逆。エジソンは後に、「1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄である」と言いました。「努力すれば成功するのではなく、ひらめきが重要なのだ。1%のひらめきを得るために、99%の努力をしているのだ」-- これがエジソンの言葉の、真の意味だったのです。

どちらかというと、努力しない奴はだめだろ、という教訓として聞いた気がするエジソン話なのだが、著者によれば、エジソンはひらめきをメモし実験によって確かめその中から発明の端緒をつかんだ、ところがポイント。だから、本を読むのは重要だが、ひらめきをメモしたら実行する(ほとんどの人は読んでも実行はしない)ためにはどのような心理的なバリアを取り除くべきなのか、ということを説いている。

2011/01/09

[MotoGP] 2010 第16戦 フィリップアイランド

MotoGP


2010年 第16戦 フィリップアイランド

もてぎ、セパン、フィリップアイランドは3週連続のレース。秋、真夏、春、と気候の変化が大きい。

コース:4448m 左7 右5
ちゃんと回る右コーナーが少ない。
「一日の中に四季がある。」

125cc
実況:寺島淳司
解説:坂田和人

マルク・マルケス11度目のポールポジション。
6人が予選落ち。

スタートからマルケスがリードし、後ろがスミス、エスパルガロ、小山、ラバト。テロルは7番手。

3L スミスが下がり、マルケスと2位のエスパルガロは2秒ほどの差がつく。
テロルが上がって3位に。
「エスパルガロはテロルを前に行かせてついていけばいい。」(坂田)
マルケスは徐々に差を付けて単独。

4位集団の小山はRSAとRSWの性能差からパワー不足でコーナーで抜いてもストレートで抜き返される。

マルケスはバックマーカーに接触しそうになり危ない場面が一度あった。
「コーナーでバックマーカーはアクセルをゆるめるが、マルケスのレベルになると開けたまま行くので速度がありすぎて接触した。」(坂田)

最後はマルケス、エスパルガロ、テロルもペースをコントロールしフィニッシュ。
マルケスは9勝目。


moto2
実況:青木源太
解説:上田昇

スタート:レディング、ディメリオ、イアンノーネ。
レディングとイアンノーネが接近、「イアンノーネのバイクはストレートで伸びる。コーナーの進入速度が速い。進入重視のセッティングをしているのでは。」(上田)

ウェイン・マクスウェルに黒旗。マクスウェルとファウベルがからんで転倒したようでライダーが小競り合いをしていた。

7位集団は10台ほどおり、エリアス、アブラハム、エガーター。エリアスはこの集団の前に出てフィニッシュ。

トップ集団は、デアンジェリス、イアンノーネ、レディングの3台。
レディングはヘアピンでミスがあり一度3位に後退したが、イアンノーネもペースが落ちて3位に後退し、2位へ。
デ・アンジェリスはレディングを離してスパートし、優勝。
デアンジェリスは、moto2からシーズン途中でmotoGPの青山の代役で2レースほど走り、その後、MOTOBIに戻ってきて優勝。

MotoGP
実況:寺島淳司
解説:辻本聡
ゲスト解説:岡田忠之

ペドロサは欠場。鎖骨が2か所で折れていて痛みがある。現地で走行してみたらしいがレースはキャンセル。

スタートで接近したスピーズ、ロレンソ、シモンチェリが接触。転倒はせず。
ストーナーがトップに。後ろはロレンソ、シモンチェリ、ヘイデン。


ストーナーは地元レースで速い。ロレンソを離してチェッカーまで独走。

3位集団は、スピーズ、ヘイデン、シモンチェリ、ロッシ。

ロッシが3位に上がり、以下、ヘイデン、スピーズ、シモンチェリ。
スピーズは12,3Lapあたりから「リア滑り始めてます」(岡田)

ドビツィオーソはトラブルがあったのかピットに入ってレース完走せず。
ドビツィオーソの走りが変わったことについて「コーナー進入を頑張りすぎないで立ち上がり重視に変えた。」(岡田)

2011/01/07

[NASCAR] 2010 第31戦 シャーロット

NASCAR

2010年 第31戦 シャーロット

放送:G+
実況:福徳一志
解説:石見周

コース:1.5マイル×334 ターン 24度、ストレッチ5度
D-shape オーバル

チェイス前半戦の最後。有利なスタンディングのデニー・ハムリンは「最後の3戦ぐらいからアグレッシブに行く。」とコメント。「3戦だとちょっと遅いですね。」(石見)


ステイアウト成功
L128でケーシー・ケインのスピンによるコーションラップ。
ここでジミー・ジョンソン、ジェイミー・マクマーレイなどがステイアウト。この時点でのトップはカイル・ブッシュ。カイルなど先頭の車はピットイン。
このステイアウトで得たトラックポジションを失うことなく、マクマーレイ、ジョンソン、などが上位フィニッシュ。「128Lのステイアウトが勝負の分かれ目」(石見)

ジミー・ジョンソン
34Lでスピン。しかしどこにも接触せず。
ここで一旦下がったポジションをステイアウトで回復し、自力で上位フィニッシュ。
終わってみればハムリンとの差をさらに広げた。

ジェイミー・マクマーレイ
最後のスティントはカイル・ブッシュよりもかなり速い。
優勝コメントで「祈りの力のことを考えた。」
昨シーズンの解雇から考えれば、今年は2つのビッグレースでも勝ち、チェイス対象以外ドライバーで優勝。「彼は敬虔なキリスト教徒。宗教の力はすごいと思いますねぇ。」(石見)

デニー・ハムリン
「勝てる感じの車ではない」(石見)
ジョンソンの後ろの4位のポジションまで上がる。しかし、ジョンソンの追いつくことができない。ジョンソンの前でフィニッシュしポイント差を詰めたいところだったが。

ケーシー・ケイン
勝負の分かれ目になったコーションを作った。体調が悪かったらしく、途中で車を降りてJ.J.イエリーとドライバー交代した。

ジェフ・ゴードン
勝てないゴードン。
バッテリーか電気系の故障でスローダウンして上位から陥落。さらにピットロードスピードオーバーでペナルティを受けラップダウン。

2011/01/06

ヒラリー・ウォー 「ながい眠り」

小さい郊外の町の不動産屋に泥棒が入った、という事件から殺人事件が発覚する。
この殺人事件を追いかける警察署長(小さい警察なので署長自ら捜査を担当)が、捜査の袋小路に入り込みながら犯人を追いかけて行く。

最後までほとんど捜査は進展せず、署長の推理は空振りばかり。体裁としては本格推理物なのに、推理して捜査、結果はぼろぼろ、の繰り返し。読んでいる方は「今度は何かわかるのか?」と期待しつつ「ああ、やっぱりだめか」となる。

真相がわかると、突然、ぷつっと唐突な感じで終わる。この終わり方がカッコイイ。探偵小説っぽい。
終わりまで読むと、途中の捜査は余計な枝葉をつぶすという役割があり、その結果正解が残っていたのだと不思議な納得感が生まれる。

この小説は「文学フリマ」の「松恋屋」で入手した「サバービアとミステリ 郊外/都市/犯罪の文学」川出正樹/霜月蒼/杉江松恋/米光一成 対談 の中で言及されていたことから購入して読んでみた。
ヒラリー・ウォーはサバービアなものを舞台とした小説の嚆矢、だそうだ。50年代アメリカでサバービアが出現し、そこを舞台にした事件の着想が出てくる時期、ということになるのだろうか。

集まる情報は手掛かりなのかすら分からないようなぼんやりしたものばかり。この手掛かりのなさがヒラリー・ウォーのサバービアに対するイメージを確実に伝えているとも言えるかも。

50年代だから科学捜査も新聞記者ものんびりしている時代で、もちろん携帯電話もないので、「今だったらこういうことはないよなあ」なんていう場面も出てきて、今と比較していろいろ空想することも多く、単にミステリを読む楽しみにプラス「昔話の楽しみ」みたいなものがあった。



2011/01/01

近藤史恵 「サクリファイス」

作者はロードレースのことをよくわかってるなあ、と感心した。

ぱっと見にはわかりづらいロードレースの選手の役割やレースの展開をストーリーに乗せて無理なく説明できている。そのことだけでもすごいこと、だと思う。インタビューを読むと「分かりにくいことを分かりやすく説明する」自信はあるとのことで、かなり成功していると思う。

主人公がオールラウンドのアシストの選手の設定で、どんな思いで走るのか、また、エースはそのアシストをどう使っているのかが、小説のポイントにもなっている。実際の取材をしないで書かれているそうなので、特定の選手がこんな風に思っているということはないはずなのだが、ああ、あの選手はあのとききっとこんなことを考えていたんだろうな、とレースの場面を思い出しながら読み進めた。

ロードレースを少し見たことがある人なら、「このチームのモデルはあのチームかなあ」など、分かっている人だけのお楽しみもあって読み進めるのが楽しい。

本来の使い方ではないかもしれないが、ロードレースをTVで見て良く分からない人はまずこの小説を読むと良いと思う。そうなんだ!とわかることがたくさんあるんじゃないかな。

CYCLINGTIME.COMの作者インタビュー