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2011/01/19

佐々木俊尚 「電子書籍の衝撃」

電子書籍がビジネスとして回るための条件として
  • デバイス
  • プラットフォーム(販売、入手のシステム)
  • フラット化(既存出版社以外のルートでの書籍化)
  • マッチング(読者に対する本の推薦など)
があると著者は整理している。

背景情報として、書籍の取次、委託販売ビジネスの成り立ち、音楽ビジネスのダウンロード市場でアップルが果たした役割、現状のアップル、アマゾンの電子書籍マーケットの契約内容など初めて知ることが多かった。

将来はリアルな書店での本との出会い以外に電子書籍で本の情報を得る方法として、ソーシャルネットワークが重要になる。しかも、小さなコミュニティとして「自分にとっての良い書評家」のような存在から情報を得ることが多くなるのではないか、と著者は予想する。本書では渡辺千賀、「私の知らないスゴ本はきっとあながた読んでいる」という有名なblogを例に挙げている。しかし、著者の予想が当たっているなら役に立つのはこういったメジャーな書評blogではないだろう。

電子化されたマーケットでも、本を展示、試し読みできる書店という場所の存在は本を探す上で重要だと思うので、書店にて自分の端末にダウンロードできる、というのでもいいかな、と自分は思う。もちろん、インターネット上で直接ダウンロードでも問題ないのだが、リアル書店に対して「紹介料」を払って電子書籍を入手したい。著者は書評blogなどが重要になる未来を予測しているが、見本を展示して立ち読み自由なリアル電子書籍店があってもいいと思う。


出版された時点では新鮮な情報を書いた本だったはずだが、今(2011/1)読むと、既に情報全体が古くなっている。ここにまとめられていることが多くの点で現実になっている、あるいは追い越されているからかもしれない。そういう意味では少し古い雑誌の特集記事を読んだような読後感だった。

本書は出版前にデータでダウンロード(たしか105円だったと記憶している)できたことでも話題になった。新書本サイズの印刷本の価格が1100円は高いというのが自分の感覚。

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