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2011/01/16

小寺信良 「USTREAMがメディアを変える」

Ustream でちょっとしたイベントを流そうとするとどういうメンバーがいればいいのか、というのを説明している本は案外少ない。また、(仮の話として)同じことをTVでやろうとしたらどれくらいかかるのか、などの情報はなかなかない。

Ustreamを含むインターネットでの動画ストリーミングを扱いつつ、それと対比する形で今のTVの問題にも言及し、そこから、「ブロードキャスト」にインターネットライブ中継が及ぼす影響まで話が広がっている。

ビジネスに利用する場合の使い方と効果、出演者の選択、肖像権的問題など、運用技術的なポイントはノウハウ本からは欠落しがちな部分として重要。

著者はTVを全面的に否定しているわけではなく、たとえば、周到な準備で行うニュース取材のような場面では報道企業は今後も重要だろうと予測する。一方で、いわゆる娯楽的番組では

  • TVを録画して見るという文化は「ダビング10」の影響もあって徐々に衰退
  • TV離れは日本に限らない傾向
  • 日本のTVの制作現場では若い世代が入ってこない
  • 面白いものがつくれない制作現場になっている
など、現状のTVのコンテンツ制作の将来は明るくないらしい。

一方で、ニコ動でお酒を飲みながら公序良俗の面で賛否の議論があるようなものを流す、というような方向性がどこまで許されるのかと言った内容については、コンテンツをチェックする機能はツイッターなどシステム外部からのコメント連携などにより実現している、と説明している。

これについては、この本の執筆以降に放送法が変わったことにより有線での放送をカバーすることになり、インターネット中継も対象となった。この面についてネット上の議論も広がってはいない。
最後の章の一文
ユーストリームが示す最大の可能性とは、このブロードキャスティングの再起動なのである。
を著者は「マスメディア」に対して投げかけたかった、のかもしれない。


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