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2011/01/01

近藤史恵 「サクリファイス」

作者はロードレースのことをよくわかってるなあ、と感心した。

ぱっと見にはわかりづらいロードレースの選手の役割やレースの展開をストーリーに乗せて無理なく説明できている。そのことだけでもすごいこと、だと思う。インタビューを読むと「分かりにくいことを分かりやすく説明する」自信はあるとのことで、かなり成功していると思う。

主人公がオールラウンドのアシストの選手の設定で、どんな思いで走るのか、また、エースはそのアシストをどう使っているのかが、小説のポイントにもなっている。実際の取材をしないで書かれているそうなので、特定の選手がこんな風に思っているということはないはずなのだが、ああ、あの選手はあのとききっとこんなことを考えていたんだろうな、とレースの場面を思い出しながら読み進めた。

ロードレースを少し見たことがある人なら、「このチームのモデルはあのチームかなあ」など、分かっている人だけのお楽しみもあって読み進めるのが楽しい。

本来の使い方ではないかもしれないが、ロードレースをTVで見て良く分からない人はまずこの小説を読むと良いと思う。そうなんだ!とわかることがたくさんあるんじゃないかな。

CYCLINGTIME.COMの作者インタビュー



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