腰の「痛いところ」だけを意識するのではなく「つながり」として考えて痛みを取り除き予防の体操を行う。背骨のS字にフォーカスするマッケンジー法よりも幅広い症状に対応している印象だ。
以前にマッケンジー体操も試してみたのだが、自分は腰の上の部分が痛くてマッケンジー体操だけでは改善しなかった。この本を読んで骨盤が傾いているの原因ではないかというヒントを得、記載されている体操をやってみたところ次の日から症状がずいぶん楽になった。
年をとると関節も経年劣化しているのが普通だそうだ。だから、腰痛のあるなしは関節が主な要因ではなく、筋肉や骨のズレなどがトリガーとなっている。変形した関節のX線写真を見せると、かえって腰痛が治らないという意識を持ってしまうのでよくない、という説が本書に紹介されている。「関節がおかしいんじゃ痛いのはしょうがない。」と思いこんで解消できるはずの痛みに耐えることになるから。
そういえば、以前にTV「カラダのキモチ」で、簡単な筋肉トレーニングを継続して行っている老人が変形関節の手術後歩けなかったのが今では休まずに数キロ歩ける、と言っていたのをみたことがあった。そのときは、筋トレと変形した関節の関連がわからず不思議だった。この本を読むと、そういうことだったのかと納得できる。
ポイントは、常に姿勢を保つことよりも、時々動かして正しい姿勢に戻してみること。デスクワーク中にもときどき廊下に出たりして腰椎から背骨の形を戻すようにすれば状態がわるくならない。そのための体操も紹介されている。
著者自身も腰痛でJリーグを引退し職を転々としていたそうだ。
腰痛がひどくなり職場に慣れたころに転職、というのは、不景気で勤務条件が厳しくなっている今だとストレスも相まってさらに増えそうだ。
腰痛の改善の施策(踏み台や作業環境調整)だけで職場の雰囲気が改善されたケースもあるそうだが、今の日本でそういった施策にお金を(わずかな額でも)使える企業は減っているはずだ。長い目で見ればそういった対策を行うことは割に合うはずなのだが。
最近発売されているマッケンジー法の本はわりと高額なので、最初にこの本を読んで不足だと思ったときに、マッケンジー本を買うようにすればいいだろう。
最後の方に書かれているぎっくり腰発生時の応急処置は知らない人が多いのではないだろうか。
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