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2010/12/17

山崎元 「超簡単 お金の運用術」

「ほぼベスト」であることを目指して簡単な(時間をかけすぎない)運用方法が本の初めの方に書いてあり、進むに従って少しバリエーションを提案している。

数年前に同じ著者の本を買った時は、リスクとは何かという基本から説き起こしていて理論的にはわかる、しかし、実際にどう応用したらいいのかな、と、こちらのレベルが追い付かなかったのだが、今回は、銘柄まで特定していて迷いようがない。以前はETFはあまり勧められないと書いていたような気がするが、良い商品が出てきた、ということだろうか。TOPIX連動ETFと、ニューヨーク市場のiShares MSCI KOKUSAIに4:6で投資というのが著者のおすすめ。

内容は、著者がblogなどにも書いていたものと同じなので、そこで運用方法が分かった人はあえて本書を買う必要はないだろう。


後半はコラム風に、住宅、退職金、財政破綻などについての解説。
生命保険や確定拠出年金などについての説明も分かりやすいが、だからといって情報を割愛しているわけではない。
住宅取得については、
家賃は大家さんに払って残らないが住宅は残る、という不十分な二分法で思考停止しては意味がない。住宅を買って家賃を配当してもらっていると考えてみると、利回りが低いことが多い。一方、賃貸は大家さんの利益分も積まれているので賃貸が有利とも言い切れず、市場では損得がちょうどよいところでバランスするはず
とのこと。

著者はマンションの長期的な資産価値には疑問を持っている、という点には同意できる。たぶん、マンションは古くなると資産価値はなくなるものが多いだろう(一部の高級なところを除くと)。

お金があったら(どのくらいを手元におけばいいかまで書かれている)運用してみてもいいかなと思える一冊。

しかし、この本が書かれた2008年末から日本はどんどん景気が悪くなっているというのはどうなんだ。逆にいえば投資チャンスは続いている、とも言えるわけだけど。




追記:
最近の著者のblogでは、データをさらに充実させてリスクを分析し、4:6から6:4までであれば許容範囲で、5:5がわかりやすくてよいと書かれていた。また、新興国ETFも含めて考えるなら、日本5: 先進国3.5 : 新興国 1.5でもよい、ともあった。

2010年12月10日発売の「ほったらかし投資術」(共著)では、さらに具体的ないくつかの銘柄について、投資する意味があるかどうかの評価コメントが記載されている。これによると、この本でお勧めなiSharesのMSCI KOKUSAIはまあまあ良いらしい。しかし、新興国ETFでは同じiSharesのものは「意味がない」と評価されている。ヴァンガード社のものが良いらしい。


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