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2011/01/26

ゲイリー・ハメル 「経営の未来」

数々の技術的なイノベーションが大成功した製品を生み出した。しかし、企業の経営管理手法にイノベーションはあったのか?著者によると今の企業の経営管理の手法の中で古いものは南北戦争のころに確立されたものもあるのだとか。

製品や技術のイノベーションを起こすことがなぜ必要かというと、それによって企業が競争を避けられる(ぬきんでた製品を作れる)からだが、技術イノベーションは追いつかれやすい。これに比較すると、経営のイノベーションを模倣することは難しい。なぜなら、それは、企業のよって立つ基盤そのものが従来の手法から進化しているからだ。

ホールフーズ、WLゴア、グーグルなど従来の経営管理から離れた手法を採用し、業績を伸ばしている企業の経営管理体制が例として出てくる。このやり方が生き残るかどうかは分からないわけだが、少なくとも従来の手法の企業と一緒にダメになることはないのかもしれない。それより早く破綻することもあるかもしれないが。

ウェブなどインターネット技術により多数の社員の知恵を現実的な(コストのかからない)やり方で活用することが簡単になっている。この集合知を活用するには、コストのかからないやり方でまず試してみて、政治的な課題はあえて避けるようにする、など、実際の変革につながる行動についてもヒントを書いている。

なんとなく変革をおこせるのではないかと思えてくる「元気が出る」本だ。ドラッカーはやや内容が古いこともあり賛否両論ありそうなので、会社によってはこの本の方が体制の変革につながるかもしれない。

しかし、本書にもあるように、下からイノベーションを起こすための変革は「今、上にいる人」や「管理する部署」の権限を小さくすることになる。このため、抵抗を生んだり、変化を拒否したりする動きは必ず発生する。これから何年かかけて「新しい経営モデル」が確立されるのかどうか、著者は「正解は分からないが、とにかくやってみることだ」と示唆しているように思う。


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