ページ

2008/12/12

高橋克徳 ほか 「不機嫌な職場」

この本に取り上げられている会社は、グーグル、サイバーエージェント、ヨリタ歯科医院。これらの企業はこの後、日経BPなど他のメディアでも同じように取り上げられている。

理論的に現象を理解し改善案を実行に移したとしても失敗する企業も数多くあるに違いない。上記の企業に代表される数少ない成功例を目標にすることは他の企業に取っては、かなり危険を伴うのではないかという気さえする。

社員が楽しく働ける職場を作るための簡単な処方箋のようなマニュアルがあるわけではない。著者たちは、この本の中で、状況を理解し、共有し、協力して、「新たな協力社会」を構築して行って欲しいと述べている。

あとがきに
組織のための個人でも、個人のための組織でもない、個人と組織がともに支え合い、良い影響を与えあう、新たな協力関係を作り出していくことが必要なのだ。(中略)
将来の子供たちのために、私たちは一人ひとりが輝いた人生を送ることを支援し合える新たな協力社会への扉を開けなければならない。そんな使命感を多くの人たちが共有し、一人ひとりが一歩踏み出していけば、これからの日本社会に私たちはもっと誇りを持てるようになるのではないだろうか。
とある。

現状、ITの問題はITでとばかりに、社内SNSや社内blogなど、発信を積極的に行う仕組みをいれてコミュニケーションの問題を解決しようというビジネスがらみの流れが強くなっている。しかし、根本的な問題は一企業の中で閉じたものではない。だから、人間の協力という行動それ自体を意識的に強化していかなければならない、というのが、この本の重要なメッセージだ。

高橋克徳、河合太介、永田稔、渡部幹の4氏による共著。
不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)
河合 太介

講談社 2008-01-18
売り上げランキング : 732

Amazonで詳しく見る by G-Tools

0 件のコメント:

コメントを投稿