ソフトウェアの欠陥をテストで100%検出することは、たぶん、できない。だから、テストはハイリスクの部分に集中的に行うことになる。
しかし、欠陥を出荷と対応にコストがかかる。
極端なことを言うと、テストの前に欠陥をできるだけ除去しておくことができればいい。
欠陥予防は、「見返りは多いが、コストも大きい」ため、多くの組織は予防型になることができず、検出・対応の事後型の組織になっている。
予防を行うためには、テストによる検出だけではなく、それを出発点とし、欠陥の分析によってエラーを作りこんだ原因を究明し、そこから得た情報を活用して欠陥を減らすプロセスを構築する必要がある。本書では、マイクロソフトがWindows Vistaの開発時に行った事例を示してはいるが、それにとらわれることなく、予防型の組織とプロセスを作るための基本的な情報を提供してくれている。
FMEA, FTA, RCAの手法もなんとなくわかった気分になれる。
最終章にある「予防タブ」の考え方である「修正を行っている時点の情報が最も大量になっている」というのはその通りで、実際、同じパターンのバグに遭遇すると「これに似たバグはどうやって対応したっけ?」と考え込むことがたびたびある。これは、対応方法を思い出せれば対応できると、自分でもわかっているからだが、適切に記録できれば思い出そうと労力を使うこともない。
なぜかわからないのだが、日本語訳が大変読みづらい感じがしてページ数の割には時間がかかってしまった。
また、インターネット上のレビューには、原著にある第5部 "A Culture of Prevention" が割愛されていてそれが非常に残念だとの書き込みがいくつかあった。これを省略する合理的な理由がないのでなぜ削られているのかは謎だ。
マイクロソフト社はマイクロソフトプレスの事業をoreilly社に譲渡したらしい。今、oreilly社のウェブサイトに行くと、印刷本の他に、オンラインサービスのsafari上でもこの本が読める。英語が苦手でなければそちらをアクセスするのがおすすめかも。
今回は和訳をブックオフオンラインで中古本を安く購入したので、ブックオフオンラインへのアフィリエイトリンクも以下に貼っておく。
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