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2013/05/04

憲法からみるPTA 強制加入は「結社しない自由」侵す (朝日新聞 2013/4/23)

憲法学者で首都大学東京准教授の木村草太さんが朝日新聞に書かれた投稿記事。今は一部分だけが朝日新聞デジタルでも読める。

http://www.asahi.com/edu/articles/TKY201304230010.html?ref=reca

憲法21条は「結社の自由」を保障する。この自由には、自由に団体を作って良いという「結社する自由」と同時に、自分の望まない団体には入らなくて良いという「結社しない自由」があることを忘れてはならない。つまり、PTAなどの団体は、その趣旨に賛同する人が自由に結成するものであり(結社する自由)、望まない人に加入を強制してはならない(結社しない自由)、というのが憲法上の大原則になる。

「PTAや保護者会といった団体の在り方について法律家がきちんと説明する努力を怠ってきたからではないか」という視点の議論は自分の身の回りで見聞きした限りでは、今までは存在しなかった。

J-WAVEの駒崎さんの回の放送のゲストで木村さんが出演されたときに、木村さんが「しない自由」があることを知っているとずいぶん楽になるということはあるのでは、とおっしゃっていた。

以前、かかわっていた地元(神奈川県海老名市)の中学校のPTAでは、地域ごとに3年生の家庭の中から委員を選ぶことになっていた。その会合に本部として出席したとき、「平日に休むとクビになるので、指名委員ならできるかも」とおっしゃっていた保護者(母子家庭だったと記憶している)がいた。そういう方にも強制的にPTA活動を割り振らねばならない状況を解消するときの理論的な根拠として「結社しない自由」は利用できる。入らない自由も憲法で保障されていますから、できるときに参加していただければいいですよ、と。そういう風に言えたら本部としてもどんなにか楽なことか。

日本国憲法は字面はわかっていても、最近にぎやかな96条問題も含め、憲法が意味するところを考えたことがなかった。「憲法改正に賛成ですか?」のアンケートに「賛成」と答える一般人はほとんど自分と同じようなレベルだとしたら。。。

現実を考えると憲法違反だろうとおかまいなく強制加入なPTAは維持されるだろう。「自由加入にしたら活動が成り立たない」という不安が現役の本部や学校には根強くある。大部分の強制的な(自動的に加入してしまう)PTAが「憲法に違反している」こと、その状態は改善しなければならないことを市・県の職員たちやPTA活動に熱心な本部の人たちに理解してもらうだけでもかなりの労力がいりそうだ。

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