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2010/02/05

藤原和博 「校長先生になろう!」

川端裕人さんのblogで「これを読んで教育委員会と教育委員会事務局の違いがわかった」と書かれていたことから興味をもった一冊。

どうしてこの本が世の中に評価されていないんだろう、すごく面白いのに。

体裁は、藤原和博校長が、民間から校長先生になりたい人にすべてを7日間で伝えるというストーリー。
実際に書かれたのは杉並区立和田中学校の4年目。
7日の構成のうち、校長の職務、学校の現状の課題、公立の必要性など、藤原校長から見た問題点の論説もある。

特に面白いのは以下の2つ。

3日目「校長先生養成講座」の108個のキーワードで校長の業務が整理される。ここでは、校長先生の仕事だけでなく取り巻く周辺の制度の矛盾や誤りを指摘している。校長先生になったらこういう矛盾した現場に行くことになるよ、ということも含めた優れた説明。
7日目「「よのなか科」ワークシートを使って校長先生自ら授業をやろう」には有名になった「よのなか科」の教材が入っている。「よのなか科」は報道でも有名になった科目で、疑似(とは言っても文字に落とし込んだ疑似ではない)社会経験を授業の中に取り込むことを意図して組立てられている。

PTA本部スタッフ2年やってみて学校の先生方がいつもお忙しいのは見ていたので、この中にある書類の山で教頭先生や指導主事が忙殺されて本業ができないことも、思ったように教師の異動ができないこともわかっていた。その視点からはその理由が納得できた。

和田中の「地域本部」について:

  • 地域社会が崩壊しているのだから学校を開いても地域のエネルギーを取りこむことはできない。それなら、学校に部屋を作りそこに常に地域の方が来て学校内の活動をすればよい
  • 子どもには親や生徒と違った「ナナメの関係」が必要
  • 学校内に地域社会を再生することが回り回って地域にも貢献する
  • 「公立」は真のコミュニティスクールとして地域が運営するものと考えよう
  • 地域本部で活動する会長は「村長」レベルのマネジメント能力が必要
など、当然だが、単に「地域本部」のカンバンを掲げればよいわけではないなあ、と納得。

地元の海老名市での教育長(教育委員会事務局を仕切る実務トップ)は、自分が知っている間(この10年以上)は校長を退職して就任するポストとなっている。なので現場には詳しいが行政的な動きはどうなのだろうか。

PTA本部スタッフは学校を知る意味でも読むべき本。

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