COCOMO (今はCOCOMO IIになっているらしい)で名前を知ったバリー・ベームがアジャイルという言葉がタイトルに入った本を書いているのが気になってこの本を注文した。
この本で著者が言っていることは以下に要約されている。
このプロセスを(もっと)適用するのと、適用しないでおくのと、私にとってどちらのリスクが高いだろうか。
大小さまざまな規模のソフトウェアプロジェクトに携わってきた経験から、この質問を投げかけ、その答えを正直に評価することが、妥当で実践的でかつ効果的な規律と俊敏性の組み合わせを可能にすると筆者たちは考えている。この点をなっとくしてもらい、それぞれの組織でバランスを達成するためのフレームワークや技法を提供できるよう、本書では最大限の努力を払っている。
このために、プロジェクトのリスクを分析してアジャイル的な手法と計画駆動的な手法のどちらがホームグラウンドであり、そこに他方の手法を適用するにはどうするか、を分析する、というところがポイント。
バランスが大切、というのは誰もが同意するだろうが、どうやったらそのバランスの良いところを見つけることができるのか。これに対しての方法を提示している。
やや話がそれるのだが、本書ではアメリカの実情として技術者がプロジェクトの途中で抜けることが多いことに対しては、「完成時ボーナス」を用意することで引き止める、というようにリスクに対して対策を打っていく例が出てくる。アジャイルな手法では暗黙知が重要なので人が抜けることがリスクであると認識しているから、こういった対策ができる。
日本で外部委託すると人を指定することができない。かといって個人技術者をコントラクターとして契約することも一般的ではない。とすると、そもそもアジャイル的な手法を適用するには今の日本の契約や雇用形態では無理があるのかも、と感じた。