エリカの所属チームがなくなり、「銀河のワールドカップ」で桃山プレデターに参加するまでの間の物語。
エリカやツバサが年上のチームとの試合をする中で、ときどき、エリカが感じる女子特有の寂しさ。
エリカはまた、ちょっと寂しくなった。本当に女子って中学以降、ほとんど背は伸びないんだなあって、男子と一緒にチームを組めるのは小学生までなんだと、思い知らされる。こういうちょっとした描写がこの話にも出てきて、作者がこの年代の子供たちを「見守っている」感じが良い。
三週間限定のチーム「桃山ダンデライオン」には、後にプレデターで一緒にプレーする将来のチームメートが人づてのつながりで参加してきたり、別のゲームでプレーしているところを見かけたり。読みながら「あ、この子はここで登場してるのか。」と。
サッカーのプレイの描写力は前作と同様に「今」をしっかり捕えていて、それが、この年代の子供たちの瞬間的な輝きを強調している。この作品でも期限付きで発生したコミュニティで自分にできることをやり、いろいろな発見をしてそこから旅立っていく。子供は自分で道を見つけて進んでいくもの、というのが作者の哲学なのかもしれない。
文庫版の杉江松恋のあとがきが本編の「銀河のワールドカップ」の良い紹介文になっていて、それを読むとまた「銀河のワールドカップ」が読みたくなる。
0 件のコメント:
コメントを投稿