手元に以前のものがなく再度購入して読み返した。
人間は自我が傷つかないためには、つまり自我の統一性を保つためには何でもする、そのためには生命すら投げ出すト -- そういう死の衝動ならありうるだろうという意味ですか?という伊丹十三の要約は伊丹自身が自死したことを思うとまるで伏線か何かのように思える。
「ものぐさ精神分析」でわかったようなつもりになっていたことを、この対談で伊丹十三的観点から説明しなおしてみることで理解できた(様な気がする)点がいくつかあった。伊丹が何度も聞き直す一次的ナルシズムへの回帰としての「プラス的な精神体験」の解説は、この本で腑に落ちたことの一つ。
自我を安定させエスと出会うというのは、「原理は簡単」と岸田は言う。あとがきで伊丹が書いているとおり原理は簡単でも実行は困難なのだ。
対談そのもの、まえがき、あとがきもあわせて読み応えのある楽しい一冊だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿