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2009/02/18

柴田芳樹 「ソフトウェア開発の名著を読む」

八冊の本を柴田芳樹氏が紹介するという新書。もともと技術系の雑誌に連載されたものの加筆修正のため、一冊の紹介の分量は多くはなく、これらの本を読んだことのない技術者が取っつきやすいように内容を最初から最後まで「さらっと流」している。

ただ並べているだけではなく、8冊は3グループに大まかに分類されている。
  1. ソフトウェアは人が作る
    1. プログラミングの心理学
    2. 人月の神話
    3. ピープルウェア
    4. デッドライン
  2. 実践する開発者
    1. ソフトウェア職人気質
    2. 達人プログラマー
  3. 読みやすいコードを書く
    1. コードコンプリート
    2. プログラミング作法
自分が柴田氏と同年代ということもあり、こういう風に常に学習しなければならないのだなあ、と気付かせてくれる本。

8冊のうち、4冊は読んだことがあり、1冊は積読状態。2冊は聞いたこともなかった。

ところどころ、ベテラン技術者が若手に経験談を話しているような部分がある。たとえばこんな風。
私自身もある面接で、「strlen関数を、ループ文を使用しないで実現してください。」「C++のvirtualの意味を説明してください。」と聞かれたことがあります。前者は10分程度考えれば答えが出てきてほしい質問であり、後者は「C++でプログラミング経験があります」という人が、どのような態度で言語を使用しているかを知ることができる質問です。
通勤電車でこれを読んでしばらく頭の体操状態になった。前者は再帰呼び出しを使うコードを実際に書くところまでやるのが課題なのだと思う。index関数を使う、というのも考えたがindexはnullにはマッチしないのでダメ。後者はpolymorphismを説明すればいいんじゃないかと思う。

一冊ごとに、どういったところに着目して読んでもらいたいか、というアドバイスもついている。若手ばかりでなく勉強不足のベテランにもリフレッシュメントとしてはいいかも。ただし、それぞれの本の内容を要約してくれてはいないので、要約版を期待するとちょっと期待はずれに。

指導してくれるベテランがいない職場ではこういう本の紹介をしてもらえないから、技術系雑誌が流行の技術を追うばかりではなく定番の本を紹介するのは実は大切なことだろう。

ただし、紹介されている本の内容が古くなっていないとは言っても出版年(あるいは初出版年)が古いものが多く、最近の良い本まで手が届いていないことは気をつける必要がある。

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