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2009/02/26

姜尚中 「悩む力」

夏目漱石とマックス・ウェーバーを補助線にして人生を語る本。

大学生に向けて書かれているのかなあ、と思いながら読むと意外と中年向けなメッセージがちらちら見えたりする。とくに最後の「最強の老人」になってやる、という著者自身の宣言の部分が痛快。この人は、ここに書いたとおりに大学を定年になったら本当にハーレーにまたがって全国行脚してあちこちで講演をして日銭をかせぐなんてことをやりそうな気がする。

一貫して言うのは「まじめに悩め」「自分自身を信じること」「人とコミュニケーションをとれ」ということ。変わり者の学者らしいメッセージを発信しているのではなく、本を読んで考え抜いてたどり着いた結論は当たり前のことだったようだ。
テーマは、ちょっと「青臭い」と言えそうな、自己、お金、知性、青春、宗教、働くこと、愛、死。下手をするとお説教だけになってしまう題材について書いているのは、著者なりの人生の仕上げみたいなものなのかな。

夏目漱石とマックス・ウェーバーをおすすめする本としても読める。実際、TV番組の街頭取材で「悩む力を読んで、改めて漱石を読み返してます」という人がいたのを見たことがある。

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