著者はJavaの技術書の翻訳などを行っている人だが、本書によれば、業務ではC++の組み込み開発のコンサルティングとソフトウェア開発を行っているらしい。つまり、独自の学習でJavaに関する知識をある程度は身につけたということだ。もちろん、ここまでJava業界で有名になれば学習も進みやすくなるということはあるだろう。
本書のタイトルは、現役続行だが、50歳からの心構えを説くような内容を期待すると(期待する人はいないと思うが)間違いだ。新人から数年の実務経験のある人が読むべき本だ。
本書を読んで学ぶべきことが多くあったという人は実はあまりいないのではないかと思う。しかし、わかっていてもできていない人は相当数いるだろう。自分の学習を自力で継続しなければならない、ということが何度も形を変えて書かれている。その学習のポイントはソフトウェア開発全般に限らず、英語、コミュニケーション、などである。
著者のポイントではないかもしれないが、驚いた内容もあった。
たとえば、何年もC言語を使用して組込みシステムを作ってきたエンジニアで、ポインタの使用方法を知らない人がいるとは想像できないかもしれませんが、実際には知らない人がいます。なぜ知らないかというと、グローバル変数を多用した設計しかしたことがなく、構造体であっても、決してパラメータとしてそのポインタを渡す設計をしたことがないからです。
著者はこのようなやや極端な実例も提示しつつ学習の重要さを伝えようとしている。
もう一つ強調されていることがあるとすれば、会社に頼り過ぎないこと、である。
ちなみに、本の帯は
「管理職にならなくたっていい。現役続行にこだわり続ける職人気質」
である。これもちょっとあやまった惹句のように思う。
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