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2010/03/31

田平武 「アルツハイマー病に克つ」

アルツハイマーの「飲むワクチン」を考え付き、ある程度有効であることを確認されたが、その後まったく進んでいないのはなぜなのか。
関係者である著者にもはっきりはわかっていないようだが、一つは国が特許を保有してしまったためらしい。このため、アメリカの財団や企業と開発で協力できそうになっても契約を厚生労働省が締結せずに話自体も消滅してしまっている。

患者や自分のような患者予備軍からしたら、妨害されているとしか感じないような話ではある。

著者も「まだですか」と聞かれたり、おそらくは、「期待はずれ」と批判されたり、実験結果が出なかったりと、つらいこともあるのだろうなあ、と書かれているわけではない苦労を思ったりする。

結果的に、著者は国立の研究所所長を辞して順天堂大学に移りそこで研究を続けることとなっている。

国の特許の公平原則により、この特許の応用をA社がまず巨額を投じて開発した後で、B社が同じ特許を使いたいと申請したら許可しなければならないため、かならず損をする先発企業になろうという会社がないのだ、とか。患者数が多い病気であり解決により医療費は抑制できると考えると、国・役所の対応はイマイチな感じだ。

ベータアミロイドの蓄積などウィルス原因ではない病気に「ワクチン」の効果があるのはなぜかについても解説されている。特に、「飲む」ワクチンが腸の働きを利用するというのは面白いと思った。ワクチンの効果のある人の割合が60%とか80%とかで、100%ではないので「体質による」という面もあるらしい。

最後の「予防」の章は、ワクチンが実用化されるまでは予防しましょう、という書き出しで、いろいろな予防法が紹介されている。いろいろなサプリメントも一応有効ではあるようだし、ストレスのない社交的な生活が脳にはいいようだ。あとがきで奥さま(?)に「特別感謝状」を、と書かれているのが微笑ましい。

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