ページ

2011/11/14

團藤 重光 , 伊東 乾 「反骨のコツ 」

東大を首席で卒業し、教授になり、その後最高裁判事にもなったという團藤重光と伊藤乾の対談。

伊藤が一応聞き役となっているが、編集された結果は、伊藤が説明的なまとめをしゃべるので一方的なインタビューではない。amazonのレビューでは、伊藤がしゃべりすぎだというレビューもあるぐらいである。

軽井沢で学生に團藤が言った「未来を担う若い人には反骨の精神をもって学んでほしい」という言葉に感銘を受けた伊藤がインタビューを本にまとめたもの。

團藤の死刑廃止論や裁判員制度などについての発言も重要な論点として出ており、大御所の思い出話になっていない。 法学の権威の先生だから死刑廃止を法学的な理論で主張するかと思うと、人間が人間の命を奪うのはそもそも間違っているのでは、という倫理的な考えが基本にある。

死刑廃止論と裁判員制度に対する反対は一つのことを別の側面から語られ、裁判員となった一般人が死刑を言い渡すことが良いのか、という点で結びついている。

自分探しについて團藤のコメントがいい。

いや、探すんじゃなくて、自分で自分をつくっていかなきゃだめですよ。クリエートしていく。つくりながら探すのなら「探す」という言葉も良いですが。

團藤の小さいころからの基本が陽明学で、おまけに、カール・ポパーとも手紙のやり取りをしたりもするそうだ。昔のインテリは教養のすそ野が広い。