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2008/05/04

[朝日新聞]耕論 PTAを考える

5月4日の朝日新聞朝刊にPTAを考えるという題で3人の方の意見が載っていた。

清水たかみさん(東京都杉並区立和田中地域本部事務局長)
和田中のPTA再編は
  • 区P協からの脱退
  • PTAを地域本部の一部門にする
の2点。
「生徒のため、学校をより良くするため」という目的はPTAも地域本部も同じです。それなら、バラバラに動くよりは一緒にやろうという発想です。藤原前校長も「自分の子だけではなく、他の子を育てることにも関心を持ってほしい。地域本部とPTAを一体にすれば、親と地域の人々の結びつきを強められる」と言っていました。
 PTA会長の仕事が大変すぎて、毎年、決めるのに苦労するという事情もあります。(略)

味岡尚子さん(全国PTA問題研究会事務局長)
 
一番大事なことは主体性です。活動したくない人は入会しないことも保障されているべきです。強制的に全員を加入させたり、委員や役員になりたくない人に押しつけたりすることは本来の趣旨とは違ってしまいます。(略)
もしP協の活動で、意味がないと感じることがあるなら、十分話し合って改善する努力をすることが大切なのではないでしょうか。(略)
今は地域が崩壊しているからこそ、PTAの役割は大きいと思います。まず基礎集団である学級PTAの活動を大事にしてください。今ある形に縛られず、子どもたちにとって大切な活動ができる可能性を探ってほしいです。

小野田正利さん(大阪大大学院教授)
PTAというのは一目置かれなければいけない。(略)活動内容からすれば、他の地域団体よりPTAが中心になるべきだと考えます。(略)PTAの位置づけを変える必要があります。私は地域の諸団体のトップに置くことを提案したい。子育て世代の目線で地域のピラミッド構造を再構成し、下に連合自治会や老人会を置くのです。(略)PTA役員がしんどい理由の一つは他の保護者からの突き上げです。親は寛容さを失った社会で孤立し、ストレスを抱えていますが、学校と関係を作る姿勢で本音を伝えてはどうでしょう。たたかれて過剰防衛に走る学校は、イチャモンの裏にあるものを理解してほしい。子どものため、互いの役割を尊重しつつ手を携えられるはずです。


PTAの全国組織の本部にあたる社団法人日本PTA全国協議会のコメントがないのが物足りない。それを除けば、PTAの廃止という発表で全国紙にも報道された和田中の地域本部の方の話が読めたのはうれしい。やはり地域本部がかなりしっかりした活動をしている状況で、PTAの活動を吸収できるまでになっているということだろう。

清水さん以外のおふた方は、PTAを早急になくすという意見には積極的に反対はしないが、PTAを存続させたままでの改善を優先するべきという意見のようで、そのための方策を提案されている。しかし、実際には組織の在り方を改善していく余裕のあるPTAがどの程度あるのか、疑問のあるところではある。

筆者が個人的にPTAで不要と感じるのは、各種発表会への「動員」と呼ばれる出席である。これのために仕事を休んで出かけなければならないことの負担感は主催者側には理解していただけていないのではないかと感じることが多い。

PTAは基本的にボランティア活動であるはずである。そうであれば、ボランティアとして可能な範囲の活動に限るしかないだろう。毎日のように学校に行かなければならないのであれば、引き受けられる人はそれほど多くはないだろうし、一年間その状態を継続できると確実に言い切れる人はほとんどいないのではないだろうか。

ここでひとつの注目点は味岡さんが
入会しないことも保障されているべき
と言っていること。PTAの任意加入問題は多くのPTAで目をつぶって通り過ぎている話だが、この任意性がベースとなってのPTA改善議論であるとすれば、現在のほとんどのPTAは議論の入口に立つ条件を備えていないとも言える。

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