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2008/11/13

川端 裕人 「PTA再活用論」

2008年度のPTA本部を引き受けることになり、今、世の中ではPTAはどうなっているのかと検索していたとき、川端裕人氏の婦人公論の連載(この著作の元になったもの)を掲載したウェブサイトに行き当たった。(みんなのPTAを探して ブログ版参照)

その連載は、PTAの苦労(もちろん得るものも多いのだが)を、メジャーな雑誌上で明らかにし分析した成果と言えると思う。その連載をもとにして追加取材されたものが本書。連載の終盤で世間の耳目を集めた「和田中のP連脱退提案」など最新の話題も入っている。地域P連の活動の負担感のような、あまり一般には知られていない(けれど大きな)問題も取り上げられている。

川端氏の一貫した主張であるPTAの任意加入は主張されつつも、自動加入のPTAでもボランティアベースの素晴らしい活動ができていることも認めている。そういうバランスの良さが本書のいいところ。

管理人のところでは、「自動加入」であり委員会は「過去を踏襲」している。しかも各委員会の委員は三年生の保護者からくじ引きで決める。そういった「強制されている」感が満載なのが現実だ。

読んでみて、川端氏の言うように「自立した市民が、みずから学んだ成果を共同体に還元する」可能性はあるのだろうか?という問いと、「保護者は今のPTAに悲鳴を上げている」現実を変えなければ早晩、破綻するという予感が強くなった。それとともに「うちの学校だけが特別な状況ではなく、多くの学校が悩んでいる」状況が確認できた安心感もある。

このPTAにある同調圧力・前例踏襲・「義務・負担・強制」は実は現在の社会のどこにでも存在しがちなものだろう。「日本の社会にとって本質的な「何か」を孕んだ巨大な問題系」であると川端氏の書いている通りだ。今の社会の問題であり、次世代に引き継ぐ前に改善するべきものだ。

PTA現役本部役員であり、2009年ももしかしたら本部役員を担当する者として、
「よくぞここまで書いてくれました。パスは受け取りました。(どう転ぶかはわからないけれど)」
と感謝を送りたい。

PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ 294)PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ 294)
川端 裕人

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