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2009/06/20

久恒 啓一 「図で考える人は仕事ができる」

この本が出た当時であれば、この内容で満足した読者が多かったのかもしれない。
著者のポイントは、文章偏重では細部ばかりが強調されて肝心なところが見えなくなっているため、キーワードを抽出し図解することで複雑に見えていたこともクリアになる、コミュニケーションの手段としてもっと活用すべき、ということ。

図の例はあまりないが、あえて特徴を上げるとすると、著者は図は丸と矢印の組み合わせを基本とする、としていること。

ただし、実例がほとんどないので、これだけで表現できるのか、という疑問は残る。

最後の方は、図を使って語るキャリア論になっている。

「図解」のノウハウを手っ取り早く得たい人には不向きな本。
逆に、図の長所をこの本で説かれて自分流の図解を作るきっかけにはなるだろう。特に文章の「てにをは」に時間をかけて資料を作るよりも明快な図解で仕事を速くせよ、というように「図を書けばよい」のではなく、仕事の仕方こそが問題だという。

セコムの飯田会長にインタビューしたとの記述があちこちに見られる。飯田会長の図解を見てみたいものだ。優先順位のつけにくい箇条書きはダメだ、という飯田会長の意見はもっと強調されてもよいと思う。

比較するのは適当ではないかもしれないが、マインドマップ一派の本は、図がしつこく出てきて「わかる気がする」のでとっつきやすさはある。とっつきやすいから使いこなせるかというと、そうでもないようで、マインドマップセミナー花盛りになっている。

マインドマップ系とこの本を見比べると、スマートな教え方をする若い先生と、なかなか、答えを教えてくれない頑固じいさん、みたいな対比が見えて面白かった。

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