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2009/06/29

矢作俊彦 「ららら科學の子」

矢作俊彦を読むのは「リンゴォ・キッドの休日」以来。

登場する登場人物の唐突な感じ(わけのわかんない女子高生とか、アメリカ系中国人と帰国子女女子大生のカップルとか)は変わっていないように感じる。

主人公が学生運動でビルの上から女子学生に乱暴しようとした警官に向かって階段から冷蔵庫(金庫だったか?)を落としたことで殺人未遂になり、中国に渡り、農村で暮らした後、数十年ぶりに日本に戻ってくる。

最初の方は、今の日本を60年代の視点で切っていく社会批評的な話しがそこここに出てくる。そういう仕掛けなのかなあ、と思ったが最後の方で、主人公が妹に電話をかけたあたりから、法を破って少女を救うために南の島へ飛んだ鉄腕アトムや、(アーサー王の)ギャラハッドのように、必要なことだったと考え、妻を「取り戻す」ために中国に行く。

主人公と学生運動時代の友達の会話が「リンゴォ・キッドの休日」風なところは、相変わらずで、読み進めるのは楽だった。読後のほっとする感じは、オヤジのラノベ、と言ってもいいような気がする。

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