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2011/10/11

宮崎 哲弥、 藤井 誠二「少年をいかに罰するか (講談社プラスアルファ文庫)」

藤井、宮崎の対談による少年法の問題、改正前、改正後、運用、被害者支援、少年犯罪についてのトンデモ論批判など様々な側面の議論になっていた。藤井が取材や日頃の活動から、被害者に対する支援が全くない現状、被害者から見た少年法の問題点を提起し、そこを宮崎が掘り進める。

改正の時期と重なっていることもあって改正での問題点が詳しい印象だ。

自分自身は子供が大きくなったから少年法の対象ではなくなったのだが、加害者少年による犯罪の被害者になる可能性は誰にでも低いながらもある。
自分、もしくは家族が被害者になったらという想定で読んでいると、「真実がわからない」「加害者がどうしているのか(社会に復帰しているか、どこに収容されたか)わからない」「謝罪してもらいたい」など、情報公開という点で不満に感じるだろう。

逆に、加害者の保護者だったら、と考えると被害者からの賠償請求が億単位というのは、自分の子供とはいえそこまで請求されても仕方がないと思えるものなのだろうか。宮崎が「子供といえども他人ですよ。」という意見に同意。藤井によれば、請求された多額の賠償を払う人は少数で、いなくなったり自己破産したりするらしい。それがわかっていても請求せずにはいられない、ということなのだろうが。

少年をどこまで特別扱いしていいものなのかという社会の共通認識がないことを前提に、納得感のある処分をするというのが理想的なんだろうが、少年法の改正はそこに向かっているのかどうか。