堀氏は感染症の専門家で中学や高校で「性の健康教育」もしている。今回は、新型インフルエンザの話を少し初めにして、後は、中学校や高校などでどういった教育をどういう目的でしているか、を伺う。
インフルエンザA(H1N1)に関しては、通常でも30%程度はインフルエンザに感染する。逆に言うと感染しない人が多い。ワクチンは副作用があるという問題がある。
咳、くしゃみをするときに口を袖で覆うという習慣がつけばそれが今回の騒ぎの収穫ではないかと思う。これによって感染はかなり防げるはず。
後半は中学や高校で実際にしている性教育の内容を意図を説明しながらしていただく。
まず、中学校や高校生に性感染症の話をするときにはポイントを絞る。
次の3つがクリアできないときは延期!
- 確実な避妊
- 性感染症予防
- 定期的な健康チェック(例:子宮がん検診 1から2年に1回)
これらは現在の「性教育」には欠けている。
この他に
- 性交延期のメリット
- 将来の家族計画を踏まえた健康管理
教育が早すぎるのではと心配する先生もいるが、実際には週刊誌ネタや友達からの情報で間違った情報を知ってしまっている小学校5,6年生では教えた方がいい。正しい知識を教えることで性交を延期する子どもが増える。
人生の中でするほとんどのセックスは妊娠したくないセックスであるにもかかわらず、なぜ、避妊教育が無いのか。
コンドームをしていても10%程度の避妊失敗がある、ということ。
低用量ピルは避妊や月経をずらしたいときにも有効なので、薬が合わないということがなければ使ってよい。
性交することでかならず感染するウィルス(HPV)がある。このウィルスのうちのいくつかが子宮けいガンの原因になる。このガンはワクチンがあり、国によっては無料で小学生から大学生ぐらいの女子に打っている。日本でも2009年に承認されたので、4万円ほどで打つことができるようになった。
コンドーム(バリア法)ではすべての感染症を防ぐことはできない。
- HIV
- 肝炎ウィルス
- クラミジア
- 淋病
- トリコモナス
- 梅毒
- ヘルペス
- HPV
- 毛ジラミ
コンドーム装着でリスクが低くなるのか質問してみたところ、リスクは低いがゼロではない。
ゼロではなくて感染するということが中高生に伝わることが重要だということだった。
自分として、意外だった(正しい知識がなかった)のは、コンドームをしていても感染リスクがゼロにならない感染症があり、そのうちの一つがHPVだということ。コンドームが避妊方法として完全ではないことは知っていたが、感染も防げないものがあるとは。
一方、クラミジアなどは自覚症状がないため悪化することがあるので検診はするべきだ、ということだ。この病気は女性側の感染が重大な結果につながりやすく、再感染するのでパートナーも一緒に治療する必要があるそうだ。
また、コンドームを継続使用できない背景として
- 「安全日がある」という誤解
- 膣外射精で避妊できるという誤解(昭和世代に多いらしい)
- 閉経しているからもういらない(感染はする)
- 夫だけ妻だけ恋人だけ (女性の95%は特定パートナーから感染)
診察をしている経験上、中学生のセックスは、体がまた不安定な状態であることと、妊娠や感染のときに病院に行くことに非常に抵抗があるなど対応力が未熟という点でリスクが高いとのこと。
中学生女子では10人に1人、高校女子では2人に1人が性交経験がある、という調査があるそうで、これには、会場がざわざわしていた。
2時間ほどのお話は非常に面白く、これは高校生や中学生にはぜひ聞かせたい、と思った。
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