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2009/11/25

保田 勝通 奈良 隆正「ソフトウェア品質保証入門―高品質を実現する考え方とマネジメントの要点」

ソフトウェアの設計から市場に出たあとのフィールドでの品質サポートまでの製品ライフサイクル全般にわたっての基本知識・手法・書式などを網羅している。

入門なので広く浅く全般的になっている。個々の話題に関して深く知りたい場合の参考文献もところどころ出てくるので、この本を手掛かりにして知識を深められることを意図して書かれている。紹介されている技法は現場で生き残った手法を中心にしている。FMEA, FTAなどと共に、「伝統的な」QC七つ道具なども紹介されていて「日本独自の知恵」のようなものもバランスよく採用している。

最後の6章は「いま求められている品質保証」に充てられている。この中で「1990年代はバブル崩壊とIT産業構造の大変革というダブルショックにみまわれて、茫然自失となり、ある意味で「思考停止」の時代であったといえるのではないだろうか。」と言う部分はITの現場に長くいた著者らだから言える本音かな、と思う。あわてていろいろな手法を輸入し、うまくいかずに状況を悪化させた会社を間接的には批判し、基本的な手法(で、しかもなおざりにされてきたもの)を行うよう促している。

この最後の章にある現状認識がそのとおりだとすれば、この本は、行うべき項目を網羅しているという意味で、多くのIT系会社で役に立つのではないだろうか。

自分としては、FMEA、FTAは名称としては知っていたが、書式としてどのようにすればよいのかと言った運用上の知識は、サンプルではあるがこの本で得た。この本の情報だけでは運用には不足なのでこの本から手掛かりとするキーワードを知った上でさらに取材する、という感じだろうか。

入門書というタイトルではあるが、インデックスとして使い勝手がよさそう。


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