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2010/06/13

飯田泰之、雨宮処凛 「脱貧困の経済学」

飯田泰之、雨宮処凛の両方のイメージが少し変わった。


飯田泰之が経済学的な発言から少し踏み出して、「世間並み」という概念や、経営者は「自己責任」を回避している、というように社会的な発言をしているのが少し意外な気がした。一方、雨宮処凛は、自分の主張を曲げてはいないのだが、わからないことをごまかさないでわからないから教えてほしい、と言うし、「努力した人がお金持ちになる社会は否定しない」と言ってみたり。

現場の状況はよくわかっているが経済学的な知識を持っていない雨宮との対談になっていることで、飯田の経済学的な知識が「素人な視点」で整理しなおされていて、何が問題なのかがわかりやすくなっている。また、素人では言い返せない「そんな財源はどこにあるんだ?」といった質問への現実的な回答など、専門知識のないプレカリアート運動は現実には難しい、ということもわかる。

この本を読んでわかったこと:
2010の民主党政権は「事業仕分け」という地方自治体で行われていた方法で独法などを整理しているのだが、年金や生活保護などは全く別のやり方にしないと、ロスジェネの人たちと、団塊世代の老人たちの両方がそこそこの生活を続けることが難しい、あるいは、それ以外の世代にとんでもない負担をかけることになりそうだ、ということ。

今の再分配政策は失敗している。特に、再分配政策をしない方が若い世代には良い。→老人世代に貢いでいる状態になっている。

飯田の説明の通りに、政府と日銀は両方ともが政策ミスを連発したことでロスジェネ世代の人生を破壊してしまったのか、と思うとなんだかとってもやるせない気分。

追記:

民主党は「相続税を下げないとお金持ちが逃げ出す」と言っているがそれは優先順位で言えば一番後ろでもいいし、本書で飯田が言うように、「自己責任」であれば相続税は100%でもいいのかも。

 雨宮処凛の名前で食わず嫌いで回避している人にこそ読んでほしい。


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