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2009/09/18

仁科桜子 「病院はもうご臨終です」

ドクトルピノコ名義で[びじすたニュース]などに寄稿している女性の勤務医が書いた病院勤務医や病院の現状(もちろん問題点も)について書いた本。

メルマガでの少しひねった目線が気になったので購入して読んでみた。
病院というと、医者の側からは「モンスターペイシェント」、患者の側からは「医者不足」が課題と見えている。本書でもすこしだけ「モンスターペイシェント」が出てくるが、本当にいたとは!と驚いたのは、ある正月に病院に電話をかけて「自分は国家公務員(それもエライ人)だが家内が風邪気味なので裏口から入れて待たせず診察せよ」と要求したという話し。こんな話は都市伝説でしかなかろうと思っていたのだが実際にあるのね、と少しだけがっかり。

ただ本書の大部分は勤務医が医者になるまで、なってからのかなりの低待遇の生活や仕事、また、今の医師不足のきっかけとなったのかもしれない研修医制度、「たらいまわし」はなぜ発生するか、なぜ発生せざるを得ないか、などといった話が「中の人」の目線で説明されている。
メルマガの読者からすると、もうちょっとくだけているかと思ったが、話の内容が社会よりになっているのでそれはしょうがないこと。それでも、がんばってところどころで細かくぼけてみたりしてくれてはいる。

勤務医って一部を除いては全く採算が取れない(医者になるまでにかかるお金のもとは取れない)のだなあ。その生活に耐えられない人が美容外科、開業などの選択肢を取るということになるそうだ。

一つだけ、細かいことを指摘しておくと、著者が勤務医よりはお金を持っているだろうという職種の一つに挙げた「ITマン」も医者と同じで一部を除いてかなり厳しい生活を強いられており、今、人気のない職種になりつつある。担当職種にもよるが医師と同じく電話一本で起こされて夜中にデータセンターにかけつけなければならない「ITマン」は多いはず。本書をIT業界の人が読んだら「隣の芝生は青いのね」と思うかも。

医療崩壊に対する回答をぶちあげる、というより、現場がなぜ大変なのかわかってますかあ、という叫びに近い内容、とも言える。


上のリンクはamazonなのだがブックオフオンラインで購入した。
最近は本を探すときにはbookgetで検索するのが決まり。
ブックオフオンラインの場合、一冊だと(1500円に満たないことが多く)送料がかかってしまうのだが、常に欲しい本を何冊か登録しておき、何冊か合わせて購入する。
いつも安価に本を入手させてもらっているので感謝の気持ちでバナーを貼っておく。
ブックオフオンライン

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